公務員試験対策講座の講師ブログ

時事問題対策~昨年の判例(性同一障害特例法)~

性同一障害特例法において、性別変更のためには生殖腺除去手術(内性器である精巣又は卵巣の摘出術)を受ける必要があるとする規定に違憲判決が出た事例です。
端的に言えば、「手術の強制は憲法が保障する、本人の意思に反して身体を傷つけられない自由に違反しており、憲法違反で無効」というものです。

以下、出典は裁判所です。

憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸
福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の
国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているところ、自己の意思に反
して身体への侵襲を受けない自由(以下、単に「身体への侵襲を受けない自由」と
いう。)が、人格的生存に関わる重要な権利として、同条によって保障されている
ことは明らかである。
生殖腺除去手術は、精巣又は卵巣を摘出する手術であり、生命又は身体に対する
危険を伴い不可逆的な結果をもたらす身体への強度な侵襲であるから、このような
生殖腺除去手術を受けることが強制される場合には、身体への侵襲を受けない自由
に対する重大な制約に当たるというべきである。
(中略)

以上を踏まえると、本件規定による身体への侵襲を受けない自由の制約については、現時点において、その必要性が低減しており、その程度が重大なものとなっていることなどを総合的に較量すれば、必要かつ合理的なものということはできない。
よって、本件規定は憲法13条に違反するものというべきである。

判決のポイントを整理してみました。
■性同一性障害に関する医学的知見の進展した現在、性同一性障害に対する治療方法は患者によって異なる
■諸外国では欧米諸国を中心に生殖能力の喪失を要件としない国が増加している
■これまでに1万人を超える者が性別変更審判を受けるに至っているなど、社会環境が変化している

最高裁の違憲判決は社会科学での必須分野ですね。
受験が来年以降の方も必ず押さえておきましょう。

直前期に向けて、今後も「あと1点」の情報をどんどんお伝えしていきます。
引き続き、頑張っていきましょう!