公務員試験対策講座の講師ブログ
弾劾裁判

弾劾裁判は公務員試験においても必須の知識です。

例えば、フォーサイトの問題集でも次のような問があります。

1 国会の機関として設けられる弾劾裁判所の弾劾裁判で、罷免の宣告がなされた裁判官は、職を失う。司法権の独立の観点から、弾劾裁判所および罷免の裁判を求める裁判官訴追委員会は、国会議員ではなく、現職の裁判官で構成される。

(フォーサイト問題集 社会科学 Q2-4より)

なお、弾劾裁判所および訴追委員会は国会議員で構成されるため、誤りです。

さて、先日、11年ぶりに弾劾裁判で裁判官が罷免された(戦後8人目)ということで、試験対策的に押さえておきたいと思い、テーマにしました。
今回の件は、刑事事件の被害者に関するSNSでの投稿が

「裁判官としての威信を著しく失うべき非行」(弾劾法2条2号)に該当する

引用 裁判官弾劾裁判所

裁判官弾劾裁判所公式サイト / ライブラリー / 01.過去の事件と判例 (dangai.go.jp)

との理由で罷免の判決が下りました。

この「案件自体が直接、時事問題で問われる」というよりは、これを契機として「司法権の独立」に関する論点が狙われるのではないかと考えています。

なお、せっかくなのでもう少し突っ込んでおくと、罷免された裁判官も資格回復が可能です。

第三十八条(資格回復の裁判) 弾劾裁判所は左の場合においては、罷免の裁判を受けた者の請求により、資格回復の裁判をすることができる。
一 罷免の裁判の宣告の日から五年を経過し相当とする事由があるとき。
二 罷免の事由がないことの明確な証拠をあらたに発見し、その他資格回復の裁判をすることを相当とする事由があるとき。
② 資格回復の裁判は、罷免の裁判を受けた者がその裁判を受けたため他の法律の定めるところにより失つた資格を回復する。

引用 e-Gov法令検索