旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

期間・日数の数え方

 法令や約款を学習していると、さまざまな数字が出てきます。金額は丸暗記してしまえばよいのですが、期間や日数に関しては、丸暗記だけでなく、期限が「いつ」までなのか、あるいは「いつ」から数えはじめるのか、単純なようでうっかりしやすいものです。
 今回は、その基本的な知識として、「翌日起算」と「当日起算」について解説してみようと思います。その他にも色々な定めがありますので、試験勉強の中盤あたりに、改めて「まとめ」を行うつもりです。

【翌日起算と当日起算】
 民法では、日の数え方について特にことわりがなければ「翌日起算」です。翌日起算は、基準となる日を含めず、その翌日から数えはじめる方法で、我々がふだん日数を数えるときの一般的な方法です。一方、当日起算は、基準となる日を含めて数える方法です。余りなじみがないようですが、鉄道の通勤通学定期は当日起算の方法を採っています。意外と身近にあるものですね。
 法令や約款の表記で、単に「○○の日から○○日以内(まで)」も、「○○の日の翌日から起算して○○日以内(まで)」と起算日のことわりがある場合も、どちらも「翌日起算」です。後者は、より丁寧に翌日起算であることを規定しています。
 また、「○○の日から起算して…」とある場合は「当日起算」です。翌日起算と当日起算の見分け方は、「…から起算して」とことわり書きがある場合に、「翌日」が含まれるかどうかがポイントです。「起算」の文言がなければ、翌日起算と判断してください。
 翌日起算と当日起算では、1日のズレが生じるので注意が必要です。

【問題】
 A男君はB子さんと1月1日に初詣に行きましたが、次のデートを1月4日にしたいと思い、B子さんを誘いました。では次のA君の誘い方のうち、1月4日に2人が会えないのはどれでしょう。
①「1月1日から3日後に会いましょう」
②「1月1日の翌日から起算して3日後に会いましょう」
③「1月1日から起算して3日後に会いましょう」

【解答】③
 ①、②とも翌日起算であるときの言い方です。①の言い方は、1月2日から数えはじめて3日目、すなわち1月4日に会うことになります。これを、上述の丁寧な言い方にすれば、②の「1月1日の翌日から起算して3日後に会いましょう」となります(ふだんはこういう変ないい方はしないでしょうけど)。
 ③は当日起算であるときの言い方です。「1月1日から起算して3日後に会いましょう」というと(これも変な言い方ですが)、1月1日を含めて数えますので、1月3日になってしまいます。B子さんは1月3日に約束の場所に行ったのに、A君は来ないので怒り心頭。A君が4日にその場所に行っても手遅れかも。
※皆さんは、A君の失敗を教訓に、最初から「1月4日に会いましょう」と、はっきり日時を指定しましょう。

 旅行業法令と旅行業約款は、基本的に翌日起算です。例外は、旅行業法における登録の有効期間の数え方が当日起算になっています。
 (例)旅行業の登録の有効期間は、「登録の日から起算して」5年間である。→当日起算
 これを「登録の日の翌日から起算して」と誤読すると、1日ずれてしまうことになります。