旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ
JR運賃料金Q&A(1)

 今月は、国内運賃料金について受講生の皆さんから頂いたご質問と、その回答を掲載していきます。

 この分野は、皆さんも体感しておられる通り、なかなか厄介です。ご質問の中でも、特にJR運賃料金は範囲が広く、規則も複雑なため、科目・分野ごとのご質問の中でトップの質問数です。
 昨年もこの時期にQ&Aを公開していますが、その後も新たなご質問がありますので、内容を更新して掲載いたします。同じテーマのご質問が多く、他人が悩むところは、まさに自分も悩むところでもあります。長文の回答もありますが、ぜひ皆さんの学習のご参考にされてください。また、テキストと問題集の該当箇所もあわせてご参照ください。
 たくさんのテーマがあるのですが、このブログでは試験に直結する重要なものに絞り、4回に分けて掲載します。第1回は、JR運賃料金計算の基本知識です。

Q1.運賃計算の際、路線名だけ出てきた場合に、それが幹線なのか地方交通線なのか、うまく見極めることができません。具体的な違いや、見分け方のコツを教えてください。また、計算手順の中で、営業キロと運賃計算キロを使うものがありますが、この使い分けも十分理解できていません。

A1.本試験では、行程に「地方交通線」と明記してあることがほとんどです。また、地方交通線区間には、営業キロと換算キロ(又は擬制キロ)が併記されています。したがって、路線ごとに幹線・地方交通線の別を暗記する必要もありません。万が一、「地方交通線」と明記されていなくても、このように2つのキロ数が併記されていれば、その区間は地方交通線区間です。
 幹線と地方交通線にまたがる場合は、幹線の営業キロと地方交通線の換算キロ(又は擬制キロ)を合算し、運賃計算キロを算出します。
 しかし、運賃計算キロのみが表示されている場合もあります。運賃計算キロは、上記の通り、幹線の営業キロと地方交通線の換算キロ(又は擬制キロ)を合算したキロ数です。つまり、運賃計算キロとは、「キロの通し計算の答え」です。運賃計算キロが表示されている場合は、必ずその行程の中に地方交通線が含まれています。そして大切なことは、「運賃計算キロが表示されている場合は、運賃計算キロをそのまま用いる」ことです。
 はじめから運賃計算キロが表示されている場合もあります。運賃計算キロが表示されているということは、キロを通算し終わっている(通算の答えが表示されている)ことなので、営業キロや換算キロは考慮しなくてかまいません。むしろ、その分、計算が楽になっているということです。

Q2.幹線では特急料金を全区間営業キロで算出しますが、一つの列車で幹線と地方交通線の区間が含まれる場合にも全て営業キロで算出するのでしょうか。

A2.ご質問の通りです。特急料金やグリーン/グランクラス料金、寝台料金は、地方交通線区間の有無にかかわらず、いかなる場合も、必ず営業キロをもとに算出します。
 ところで、幹線と地方交通線にまたがる区間で、「普通運賃」を求めるのでしたら、営業キロと換算キロを通算した「運賃計算キロ」で算出することになり、用いるキロ数が料金計算の場合と異なります。同じ行程でも、何を求めるかにより、用いるキロ数が違ってきます。特に、「料金は必ず営業キロ」であることにご留意ください。
 なお、有効期間、途中下車、学割等の割引条件なども、すべて営業キロを用いて算出します。結局、換算キロや擬制キロ、運賃計算キロは、運賃計算のときにしか用いられないキロ数です。

Q3.もし、行程が2日間に分かれる場合は1日目と2日目も全区間一緒に運賃を計算するのでしょうか? それとも1日目と2日目で切って計算するのでしょうか?

A3.行程が2日間以上になる場合、乗車券の有効期間にご注意ください。有効期間内であれば、途中下車して翌日以降に旅行を再開しても、通しの運賃が利用できます。
 途中下車は、片道行程の営業キロが101キロ以上の場合に可能です(特定都区市内、近郊区間などの例外を除く)。乗車券の有効期間が2日以上(営業キロで101キロ以上)の場合、途中下車して翌日乗車しても、乗車券はそのまま有効です。
 逆に、乗車券の有効期間が1日(営業キロで100キロ以下)の場合、途中下車すると前途無効となります。当日はもちろん、翌日も乗車券を使用することはできず、新たに乗車券を買い直すことになります。