社会保険労務士講座の講師ブログ

知っておきましょう「国民医療費」

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の加藤です。

冬は寒い、当たり前ですが、寒いのが苦手の方、
これからの寒い時期、
朝が辛くて、寝坊がちになるなんてことがありそうです。

さて、今回は、「国民医療費」についてです。

国民医療費とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病
の治療に要した費用を推計したもので、この費用には、医科診療や歯科診療にかかる
診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれます。
一般的な言い方をすれば、医療保険等が適用される医療に要した費用といえます。

毎年、厚生労働省がこれを公表していて、この公表内容が社会保険労務士試験に
出題されています。
例えば、平成17年度試験の選択式で、

近年、国民医療費は経済(国民所得)の伸びを上回って伸びており、国民所得の約
( D )%を占めるに至っている。中でも国民医療費の( E )を占める老人
医療費の伸びが著しいものとなっている。

という出題があります(答えは D:8 E:3分の1 です)。
このほか、択一式での出題もあります。
であれば、当然、国民医療費の動向を知っておく必要があります。

令和5年10月24日に、「令和3年度 国民医療費」が公表されています。
これによると、
令和3年度の国民医療費は45兆359億円、前年度の42兆9,665億円に比べ
2兆694億円、4.8%の増加となっています。
人口1人当たりの国民医療費は35万8,800円、前年度の34万600円に
比べ1万8,200円、5.3%の増加の増加となっています。
国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は8.18%(前年度7.99%)
となっています。
いずれも長期的に増加傾向です。

それと、制度区分別にみると、
公費負担医療給付分は3兆3,136億円(構成割合7.4%)、医療保険等給付分は
20兆5,706億円(同45.7%)、後期高齢者医療給付分は15兆7,246億円
(同34.9%)、患者等負担分は5兆4,270億円(同12.1%)となっています。

「医療保険等給付分」は45.7%と半分近く占めていて最も大きな割合になって
いますが、「後期高齢者医療給付分」が34.9%を占めています。
「34.9%」、おおよそ「3分の1」が高齢者医療で占めているということで、
平成17年度試験の選択式の空欄の1つが、この割合です。

このような統計数値、細かくまでは覚える必要はありませんが、
おおよそどれくらいなのか、知っておきましょう。