行政書士 大石聖子さん

実務家密着取材

直撃インタビュー
行政書士 大石聖子さん

行政書士

大石聖子さん

花形の機上職から、法に携わる地上職へ
転身を遂げた元CA行政書士

1986年 フェリス女学院短期大学家政科を卒業
1986年 日本航空に就職
2010年 日本航空を退職
2011年 行政書士試験合格
2011年 2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得
2012年 行政書士大石聖子事務所を開業

2012年から行政書士の道を歩み始めた大石聖子さん。大手航空会社の元客室乗務員で、国際線を中心として20年以上にわたり、世界の上空を飛び回っていました。女性が憧れる花形職業の第一線で活躍していた大石さんが、一転して全く異なる分野の業種で独立、開業の道を選んだ背景には、いったいどのような理由があったのでしょうか。素敵な笑顔で場の雰囲気を和やかにする、新進行政書士の過去・現在・未来をお聞きしました。

20年以上にわたり国際線CAとして、世界を飛び回る

イギリスの小説家アーサー・コナン・ドイルが生み出した希代の名探偵シャーロック・ホームズといえば、持ち前の鋭い観察力を駆使し、初対面の依頼人に対してもその人に関する情報をズバリと言い当てるシーンが思い浮かびます。しかし、それほどの観察力の持ち主でなくても、おそらく大石さんを前にすれば、これまでどのような職業を経験してきたのか、すぐに察しがつくのではないでしょうか。

おだやかな目もと、口角の上がったほほえみ、やわらかく澄んだ声、すっと凛々しく伸びた背筋。長年、客室乗務員として数え切れないほど多くの人々を楽しい空の旅へといざなってきたそのたたずまいは、行政書士となった今も全く変わりありません。

「就職する何年か前には『スチュワーデス物語』という人気テレビドラマもありましたが、私の場合はどうしても客室乗務員になりたいというわけでもなかったんです。身長などの採用基準は満たしていましたので、面接の練習にもなるから受けてみようかしら、ぐらいの感じで(笑)」

気軽に臨んだという入社試験でしたが、狭き門をくぐり抜け、晴れて日本航空に入社。2年目から国際線の担当となります。

「フライトで訪れた土地で過ごせるのは旅行と違ってわずかな時間ですが、それでも現地でしか見られないものや味わえないものは印象に残っています。特に南イタリアのとりこになりました。すばらしい景色はもちろんのこと、いたるところに歴史的なロマンが感じられますし、食べ物もおいしいですし」


経営悪化による退職を契機に、資格取得を目指し猛勉強

「客室乗務員という仕事は、体力的にも精神的にもかなり重労働です。特に国際線は、海外へのフライトに時差が伴いますし、睡眠や休憩の時間もしっかり確保できないなど、不規則な生活になりがちで、辞めていく仲間たちも結構いました。でも、私には合っていたんでしょうね。体力に自信がありましたし、お客さまと接することがストレスになったというような記憶もないんです」

学生時代に経験したホテルのラウンジでのアルバイトも、接客のノウハウを身につける下地になったという大石さん。「人をおもてなしするのが好きなんですね」と、にこやかな表情を浮かべます。

多忙な仕事のかたわら、結婚、出産、育児と、プライベートでも順調に積み重ねてきたキャリア。ところが、2000年代半ばから勤務先の経営状況が悪化します。大石さんが早期退職を余儀なくされたのは2010年11月のことでした。

「いくらその仕事を好きで、プライドをもって働いていても、年齢がハンデになってしまう職業のひとつが客室乗務員だと思い知らされました。ですから、次に働くなら年齢に左右されない仕事をしようと心に決めたんです」

退職後、大石さんはハローワークで求人を探す一方、行政書士、ファイナンシャル・プランニング技能士、公務員といった資格取得をめざし、猛勉強を始めます。

「それまでにもソムリエやチーズプロフェッショナルなどの資格を取ってはいましたが、毎日勉強することを習慣づけるのは大変でした。家にいれば、まずは家事という何よりも大事な役目がありますから」


行政書士とFPにダブル合格!翌年には独立開業

予備校に通い、朝は5時起きして近所のカフェで集中して勉強。趣味のジョギング中も、携帯音楽プレーヤーとイヤホンを使って学習していたそうです。「ええ、この期間は生活の中心を試験勉強にシフトして、もう真剣そのものでした」

その努力が報われ、行政書士と2級FP技能士の試験に一発合格を果たします。「行政書士とFPと公務員の試験は共通する分野がありますので、勉強を並行してやっていたのが効果的だったんじゃないでしょうか」

2012年5月、千葉市内で「行政書士大石聖子事務所」の看板を掲げて開業。航空会社を退職してから1年半後の転身でした。「最初の事務所はレンタルオフィスでしたが、今は事務所仕様にリフォームされた3LDKのマンションの一室を利用しています」

京成千葉中央駅から徒歩3分ほどにあるオフィスを拠点に活動している大石さんですが、近々、都内への移転を予定しているとのこと。

「といっても、住まいは千葉市内ですし、千葉との関わりを切り離すことはできません。まさにゼロから出発して不安だらけだった私のような者が、開業してからの1年間を振り返ってみただけでも、この千葉でさまざまな方々とご縁をもつことができました。おかげさまで地域活性化の取り組みにも参加させていただいていますので、そういった地域に根ざした貢献をさらに深めていくつもりです」


行政書士もサービス業!「おもてなしの心」、「共感」が大切

現在の取り扱い業務としては、外国人在留資格などの国際手続きや、会社設立をはじめとした許認可手続きが中心。さらに、マナーインストラクターとして、設立先のスタッフ研修なども行っているそうです。

「客室乗務員も行政書士も、ある意味サービス業といえる点は共通していると思うんです。お客さまが『ちょっと面倒だな』『なかなか解決できずに困ったな』と思っているようなことを頼んでいただければ、私が代わりにお引き受けするという仕事ですから。それに“おもてなしの心”をもってお客さまのお話に耳を傾け、共感することが大切なのも一緒です」

これまでにホノルルマラソンを2回、東京マラソンを1回完走したという大石さん。そういった粘り強さも兼ね備えた、頼もしくも親しみやすい行政書士として、今後の幅広い活動に熱い意気込みを見せます。

「行政書士はよく“先生”と呼ばれますが、私は“先生”と呼ばれるのはどうも……。あくまでもお客さまの思いを形にして喜んでいただくのが使命ですものね。そのためにも今まで以上に人とのコミュニケーションを大事にして、何か困ったことが起きたときに『大石聖子』の名前を思い出していただけるような存在でありたいと思っています」

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