簿記講座の講師ブログ

PDCAを実行するのは無理?

 皆さん、こんにちは!

 簿記講座担当の小野です。

 行楽の秋。遊びに行きまくりたいですね! でもダメか・・・。勉強しなきゃ。

 日々の活動をできる限りうまく進めるためのツールとして有名なものにPDCAがあります。PLAN-DO-CHECK-ACTIONの略で、「計画を立てて、実行し、チェックして、うまく行かなった部分について次のサイクルで改善する」サイクルを示す言葉です。

 PDCAをうまく利用することができれば、少しずつでも改善が進み、少しずつ日々の活動がうまくいき始めるはずです。多くの企業では大なり小なりこのサイクルを実践していることでしょう。

 このサイクル実践の最大のポイントはCHECKにあると思います。PLANは想像の世界ですから、どんなに厳密に考えて計画を立てても、予想外の事態がいろいろ生じてしまうでしょう。その予想外の事態をCHECKの段階でどれだけ見つけて、次のサイクルに生かすかどうかが重要だからです。

 でも、この作業は計画立案・実行の責任者にとってきつい作業です。日々の活動があまりうまくいっていない場合のCHECK作業は、計画立案・実行の責任者の責任を追及する作業になりかねないからです。

 そのためでしょうか、肝心なところでこのCHECK作業の結果があまり開示されないように感じます。

 例えば、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業要請はどのくらいうまくいったのでしょうか? 東京では、2021年、3月末から4月末の1か月を除いてずっと緊急事態宣言中です。飲食店は時短営業+酒類提供禁止です。3月末から4月末に緊急事態を解除したため5月に感染者が多くなったといわれていますが、7月末からの感染者激増は緊急事態宣言中でした。逆に、夏休み・9月の連休中の営業をしなければ生き残れないと酒類を提供する飲食店が少しずつ増える中で、8月末以降に感染者が激減しています。

 このような状態をみると、時短営業がどのくらいうまくいったのか厳密にCHECKして、うまくいった部分、うまくいかなかった部分を検証し、次に生かさなければならないのですが、そういった作業が行われているか、国民の目からはなかなか見えません(私に見えていないだけだったらすみません…)。

 また、先日、「基金が乱立し、お金が2.6兆円も余っている」ということが報道されました。国や役所は単年度主義(1年ごとに予算を明らかにして、議会で承認したうえで、1年ごとに執行していく)なので、1年を超える取り組みを行う場合には、「基金」と呼ばれる仕組みを使います。

 「基金」は1年を超える取り組みを行う場合のプロジェクト組織みたいなイメージです。そのプロジェクト組織に複数年分のお金を渡して、渡された金額内で予定された活動を複数年にわたって行う仕組みです。

 この仕組みは国や役所の単年度主義という原則からそれるやり方ですから、あくまでも例外的なやり方です。議会はいつ解散されるかわからないので、1年以上の予算を決める権限を持たせてしまうと、危険なわけです。

 しかし、この「基金」が国の分だけで200件も存在していて、そこに投入されたお金が2.6兆円も使われずに余っていることが分かりました。

 例えば、リーマンショックに端を発した長期失業者の就労支援基金には379億円のお金が投入されていますが、そのうち使われたのは3.5%分だけです。ニート支援(就職氷河期世代への対応)基金には148億円が投入されていますが、そのうち使われたのは9.3%です。

 ただ、使われずに残っているだけマシかもしれません。使わなければ報道されてたたかれるとなれば、無駄な使い方がなされるかもしれないからです。

 国レベルの規模の大きな組織体は実に多くの人がかかわっているでしょうから、CHECKを行って、それを次のサイクルの改善に生かすことが難しいかもしれません。

 でも、人口減少社会だし、現役世代の収入が減っているし、うまく行かなった点を洗い出してできる限り改善していかなければ、なかなか難しい時代を迎えることにつながってしまうかもしれません。

 何とか、国レベルの大きな取り組みであっても、CHECKが有効に機能するようなシステムが作れないものでしょうか…。

 私程度の人間がそう思うのですから、政府など優秀な方々が集まっている部署ではすでにいろんな対応方法を考えてこられたと思いますが。なんだかもどかしいです。