簿記講座の講師ブログ

ある人の借金は別の人の資産? その1

 皆さん、こんにちは!

 簿記講座担当の小野です。

 実りの秋ですからおいしいものの誘惑が強烈な時期でたいへん時期かもしれませんが、合格することを想像して、ちょっとビシっといきましょう!

 成長と分配。衆議院議員選挙でもキーワードでした。
 バブル崩壊後、その困難からの脱却だけに焦点を当てた、近視眼的な政策によって、気がついてみれば日本はかなり豊かさを失ってしまいました。現在、欧米諸国の実質所得が1997年比で2割~3割アップしている一方で、日本は1割減です。
 こんな状況を脱するためには成長と分配が必要ということで、そのための財政支出を増やすという公約を掲げた選挙戦が繰り広げられました。ただ、そのためのお金をどうやって調達するのかという議論はなく、おそらく借金で調達するものと思われます。そうすると、こんなに借金があるのにこれ以上借金をして大丈夫なの?と心配になりますよね。それに対する財政支出賛成派の答えは「日本政府はすべて日本人から借金している。政府の借金は国民の資産。だから、大丈夫。」というものです。

 ムムム。なんだか怪しいお言葉。
 では、ちょっと、B/Sを使って考えてみましょう。

 話を単純にするために、日本には個人と政府しかおらず、個人が政府へ直接お金を貸す(国債を買う)ことにしましょう。100億円の資産を持っている個人がそのうち30億円で国債を買ったとしましょう(100万円の資産を持っている個人10,000人が、30万円ずつ国債を買ったということでもOKです)。そのとき、次のようなB/Sの変化が起きますね。

 たしかに、個人が政府にお金を貸した時点では、政府の借金は個人の資産ですね。その裏付けとして、政府が30億の現金を持っているので、この時点でのB/Sを見る限り、政府がどれだけ借金をしても大丈夫です。では、その次の段階(政府がお金を使う段階)になるとどうでしょう?(次回に続く)