簿記講座の講師ブログ

ある人の借金は別の人の資産? その2

 皆さん、こんにちは!

 簿記講座担当の小野です。

 今日もがんばっていきましょう!

 前回、政府がお金を借りた時点で見ると、政府の借金は個人の資産であることが分かりました。

 では、政府がこのお金をGoToトラベルに使ったらどうなるでしょう?
 政府がGo Toトラベルに30億円のお金を使うと、政府の現金が減ります。
 そのお金はどこに行くか?
 旅行業や飲食業を営んでいる会社ではありません。
 旅行や飲食を楽しんだ個人です。旅行代金の補助という名目で個人に支払われます。
 この時の政府と個人のB/Sは次のようになります。

 個人は旅行代金の補助という名目で30億円の現金を受け取り、国債購入前の現金を持つことになります。Go to トラベルで個人が補助金を受け取っても50万円までは非課税です。ですから、旅行代金100万円分までは無税で補助を受けることができます。
 また、これをきっかけに個人が多く旅行に行くことによって旅行業を営む企業にお金が流れますが、旅行業者が黒字になって税金を支払うところまで行くのは難しいと思います(赤字をカバーすることで精一杯?)。
 したがって、政府に税収として還流することはないでしょうから、Go Toトラベルによる補助金支出は、そのまま純資産のマイナスとなるでしょう。

 とすれば、政府の借金の裏付けとなる政府の資産はなく、政府が借金で調達した資金は、調達元に戻ってしまっています。ムムム?
 よくわからない状況になってしまっていますが、「政府の借金は誰かの資産」というフレーズがいつも確実に成り立つことはなさそうです。さぁ、この状況をどのように見ればよいのでしょうね?