簿記講座の講師ブログ

ちょっと意外な投票結果(その1)-得票数と当選者数は比例してない!-

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 少しずつ寒くなってきた今日この頃。体調管理に気を付けて頑張っていきましょう。

 10月末に行われた衆議院議員選挙。私的にはかなり驚きの結果でした。
 2021年10月までの自民党政権(特に菅政権?)では、コロナ対策は後手後手、お友達企業へのバラマキ、庶民に厳しい給付金といったことが目立ち、自民党が大敗するのではと思っていました。自民党政権からの利益が多いであろう高齢者は、まだ自民党政権を支持するとしても、一部の高齢は自民党支持をやめるのではないか、そして、特に若い人たちはバブル崩壊後、搾取されまくっているので、もういい加減、自民党政権にNOが突きつけられるのでは?と思っていました(実際、そういった報道も多かったですし…)。

 しかし、蓋を開けてみると、自民党の圧勝でしたね。多少議席が減ったとはいえ、261議席も獲得して、単独過半数を大きく上回りました。なぜ、多くの国民は自民党を選んだのか不思議でしたが、選挙の数字を見てみると、いくつかの特徴が見えてきそうです。

 1つは当選者の決定方法です。
 衆議院議員選挙は小選挙区で289人、比例代表で176人を選びます。
 小選挙区では、その選挙区で最も得票の多い人を当選者とします。相手より1票でも多ければ当選です。では、全国で当選者数と得票数はどのようになっているでしょうか?

 小選挙区では、相手より1票でも多ければ当選ですから、得票率が議員数に比例しません。立憲民主党は全体の自民党の6割の票を得ましたが、当選者は自民党の3割です。つまり、全国でみれば、自民が立民の3倍の得票を得たわけではなく、自民と立民が僅差で争い、自民が僅差で勝利した小選挙区が多かったということでしょう。

 また、比例代表の当選者と得票数は次のようになっています。

 比較的大きな得票を得た政党の当選者数は、おおむね得票率に比例しているようですが、得票率が低かった政党の当選者数は得票率が高かった政党の当選者数と比例していないようです。例えば、国民民主の得票率は自民党の得票率1割ちょっとですが、当選者数は1割よりかなり小さいですね。比例代表は小規模政党に厳しい方法といわれているとおりです。

 こうやって見てくると、自民党の当選者数261人が、全体465人の56%を占めるといっても、自民党の得票数は全体の4割程度であり、国民の過半数が自民党を支持しているというわけではなさそうです。
 一方で、自民党は4割の票を得て、全体の56%を占めたのですから、選挙制度をうまく使ったということになるのでしょう。

 岸田政権は、「国民の信任を得た」という前提で、これまでの政策の延長上での政治を続けていくでしょう。社会での格差がもう少し広がっていくのでしょうね。あぁ、これまで以上に自己防衛を図らねば…。

 それでも4割の人が自民党を選んでいます。では、その人たちはどんな人たちなのでしょう? 詳しくは次回に。