簿記講座の講師ブログ

丸投げ勘弁して!

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 私はまだ休み気分が抜けませんが、皆さんはもう通常モードに戻りましたか?

 最近政府機関(国・自治体)による民間組織への仕事の丸投げが多いように感じてしまいます。役所の方々も一生懸命やっておられるのでしょうが、「えっ!それはちょっと」と思われる事柄が身近でも発生してしまっています。
 
 例えば、1月下旬から始まった事業復活支援金の給付事業では、2021年11月以降の売上が、昨年と比べて大幅に減少した事業者に対して給付が行われますが、この給付金を申し込むためには商工会・顧問税理士・借入のある金融機関等のチェックが必要となりました。つまり、事業復活支援金を受給したい事業者は書類を商工会・顧問税理士・金融機関に持参し、要件を満たしてもらっているかどうかを確認してもらい、証明を受けたうえで、役所への申し込みを行うことになります。

 ただ、商工会・顧問税理士・金融機関に役所からの報酬が支払われることはありません。支援金を申し込む事業者からいただくか、商工会・顧問税理士・金融機関の自腹です。事業者はコロナ禍で売り上げが激減して困っているから支援金を申し込むわけで、そのような状況にある方々から報酬をいただくことは難しいでしょう。したがって、商工会・顧問税理士・金融機関の多くが無報酬で書類チェックに取り組むことになるでしょう。

 これまでの支援金の運営については、審査が遅い、審査がずさんという批判が多く寄せられていました。そのためなのか、今回、その審査部分を民間に丸投げしてしまったわけです。その帰結はどうなるでしょう?

 年度末のタダでさえいつもより仕事の増える時期に、報酬をもらえない面倒な書類チェックにまじめに取り組むでしょうか? 書類さえそろっていればOKとする商工会・顧問税理士・金融機関が多くなるでしょう。支払は早くなるけど、要件を満たさない事業者も支援金を受け取ることができる場面が増えるでしょう。

 本来ならば、この審査は役所がコストをかけるべき部分です。コストをかけたくないならば、支給の要件を設けない(誰にでも支給する)などの工夫をするのが筋で、他人にコストを押し付けるのは悪手ですね。

 ほかにもずっと行われている企業による年末調整も、本来は税務署が欠けるべきコストを企業に転嫁している悪手です。これはしかも、税金計算方法に国民の目を向けさせない副作用ももたらします。

 そういう環境が当たり前のように存在するからでしょうか?「お金を払うお客様はサービス提供者に無条件の要求を突きつけることができる」と考えているケースが後を絶ちません。

「サービスはただで提供されて当たり前」
 う~ん。こんな考え方が廃れて、自分が負担すべきコストを自分で負担するという考えが広まらないと、サービス提供者の生産性は上がりませんね。