簿記講座の講師ブログ

キャリア官僚志望者減から思うこと

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 新年度に入ってしばらく経ちましたが、皆さん、落ち着きましたか?

 最近、様々なところで話題が出る「働き方改革」。どんな職場でも大なり小なり意識されてきたことでしょう。職場のあちこちで少しずつ改善が進んでいるはず(?)ですが、最も改善を要している業界(というか職種というか)の1つが中央省庁でしょう。

 先日、人事院は、2022年度の国家公務員総合職(いわゆるキャリア)試験(春)への申込者数が15,330人だったと発表しました。10年前の2012年度は23,881人でしたから、この10年で申込者が36%減になってしまったことになります。なお、2012年の22歳人口(1990年生まれ)は約122万人、2022年の22歳人口(2000年生まれ)は119万人ですから、この試験を受ける母数は2.5%しか減っていない状況です(受験資格は22歳に限りませんので、多少の誤差はあるかもしれませんが、少なくとも5%を超える減少はないでしょう)。

 人口は2.5%程度しか減っていないのに、受験者は36%減。間違いなく、キャリア職が敬遠されているのでしょう。報道では、国会待機のために家に帰れないこともしばしばあり、かつ、それ以外の残業時間も膨大。予算も厳しくなってきて、国のためにやるべきことも十分にできない。膨大な残業を我慢すれば手に入れることができた天下りも厳しい目にさらされているため、思い通りにならない。天下り後の給料も含めた生涯年収が前提となっている給料体系(つまり、現役時代の給料はかなり低水準)であるにもかかわらず、天下りできないとなれば生涯年収も低水準になってしまうなど、総合職になる動機を持つことが難しい状態ですから、志望者が減ってしまうのも当然かもしれません。優秀な人ほど、やりたいことを好待遇でできる民間企業に流れるでしょう。

 一方で、志望者が減ってしまうことを国民は無視できません。国の根幹となる政策の原案を考えるのはキャリア官僚なのですから、優秀な方々が集まらなければなりません。政府に優秀な人がいなければ、政策がガタガタになってしまい、私たちの生活を直結するでしょう。

 少しの電力消費で停電の恐れがある日本、食料自給率が20%程度の日本、様々な問題を抱えているのに、その中枢に集まろうとする人が減る日本。さて、日本を覆う多くの難題から、どうやって自分自身を守っていけばいいでしょうか?