簿記講座の講師ブログ

人的資本に関する情報の開示がはじまる!

 皆さん、こんにちは。
 簿記講座担当の小野です。
 まだまだ連休の疲れがとれませんが、皆さんは全開ですか?

 2023年度から、企業の有価証券報告書で「人的資本」に関する情報を開示するように求めることになりました。従業員の育成状況・多様性の確保・法令遵守の取り組み(年休などの取得等)といった人材への投資に関わる情報を開示させることが想定されています。
「人的資本」というと、従業員を設備などと同じように捉えて財務諸表に掲載することを想定しがちで、過去においてもそのような観点で「従業員を資産と見なして貸借対照表に記載すべき」という議論がありましたが(人はモノではないと理由で実際に計上されることはありませんでしたが)、今回は、人材への投資ということで財務諸表以外の部分で、企業の取り組みの開示が求められそうです。
 おそらく、働き方改革・SDG’sへの取り組みの一環で、企業が人材に対して、社会的に求められる責任を果たしているかどうかを開示させることになるでしょう。例えば、従業員(役員)の男女比率・育児休暇の取得状況・従業員育成プロセス・労使交渉の状況などの開示が求められます。
 
 有価証券報告書への記載を求めるということですから、基本的には上場企業が守るべき規程となります(有価証券報告書は上場企業・一定規模以上の非上場企業が、決算日ごとに、財務諸表や事業に関する説明の文書をまとめた冊子)。日本では企業の9割以上を中小企業が占めますので、ほとんどの企業には関係ない事柄です。
 しかし、それでも、できるところからこういった開示を始めることによって、徐々に全体に浸透し、社会にとって当たり前の状況にもっといけるといいなと思います。

 私は団塊ジュニアです。私と同じ年代の少ない人たちが、1990年代後半の就職活動では超氷河期のあおりを受け、7割くらいの人しか職に就くことができませんでした。その結果、私たちが働き盛りの40才代になったとき(5年くらい前から)人手不足が顕在化してきました。
 今の若い人たちには、企業が講評する「人的資本」に関する情報をきちんと読み込んで、就職を「雇ってもらう」という感覚ではなく、「労働力とお金を交換する」という経済行為として捉えられるようになればいいなと思います。

 人が幸せでないと、社会全体も幸せになりませんからね!