簿記講座の講師ブログ

NISAがなかなか普及しませんね

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 暑くなってきました! 寝冷えなどすることなく、ご注意を!
 
 貯蓄から投資へ!
 政府が個人の資産形成を促し始めて久しいです。
 具体的にはNISAやidecoなど、個人の税を優遇する形で資産形成を促しています。

 NISAは5年あるいは20年にわたって、投資から得られた収益に課税しない制度です。国民はNISA口座を開設して、その口座を通じて投資をすれば、5年(通常NISA)あるいは20年間(つみたてNISA)にわたって、得られた利息・配当金・売却益に課税されず、丸々自分のものにできます。ただし、年間の投資額の上限は通常NISAは120万円、つみたてNISAは40万円です。
 idecoは60歳までの長期にわたって、投資から得られた収益に課税しないだけでなく、投資額を所得から差し引いてさらに優遇する制度です。国民はideco口座を通じて投資をすれば、得られた利息・配当金・売却益に課税されないのはもちろん、さらに、確定申告時にその投資額相当分を給与などから差し引いて所得税が少なくなります。しかも、60才以降にideco口座から引き出しするときには退職所得として扱われますので、所得税の課税額が少なくなります。要するに、「利息などの収益に課税されない」「投資額相当分について総合課税ではなく分離課税になる」という優遇がなされます。なお、年間の投資額の上限があり、職業によって年間14.4万円~81.6万円の範囲で変わります。

 ただ、これだけ優遇があっても、NISA口座の開設は1,800万で、成人の2割弱です。しかも、そのうち200~300口座は稼働していないとのことですから、実際にNISA口座を通じて投資をしている人は1,500万人(人口の15%くらい)です。引き出しなどの制限が全くなく、単に税が優遇されるNISA口座ですら成人全体の15%くらいしか利用していないのです。初めて投資を行う人は、まずNISA口座を開設して優遇を受けながら投資をすることになるでしょうから、国民のうち投資活動を行っているのが15%くらいということです。

 日本人は所有する資産のうち現預金が占める割合が高く、株式等が占める割合はかなり低いという特徴を持っています。もともとリスク資産への投資はあまり好きじゃない国民性です。しかし、政府が国民の老後の生活を保障できない状況になりつつある現在、国民は自分で資産を形成しなければなりません。現預金で資産形成することはかなり困難です。政府は、税優遇以外にも、国民が投資に踏み出せるきっかけを作らなければなりません。
 また、給料が低すぎて投資に回すお金がないという状況も多いようです。いくら投資に関する税が優遇されても、そもそも投資できないケースです。現在の若年層(20~40代)は60代以上の方々に比べて、年金支給額は大幅に減るけれども、年金保険料負担額は大きく増えている状況です。そんな中で、「自分で投資して資産を増やせ」といわれているわけです。かなり酷な状況に置かれています。だったら、若年層だけへの優遇措置が取られてもいいのではないかと思います。例えば、NISA口座を開けば、そこに毎月1,000円が政府から振り込まれるなど、「将来年金を払えないので、今少し払います」的な優遇があっても、若年層と高齢層の不公平感はないと思うのですが…。

 いずれにしても自分自身の守り方を改めて考えなければならないですね!