簿記講座の講師ブログ

イギリスでの年金支給開始年齢引き上げ

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 暑いし、ムシムシしてきたし、快適な環境を作るのが大変ですね!

 イギリスで年金支給開始年齢が引き上げられています。
 現在の支給開始年齢は66才で、2026~2028年にかけて67才に引き上げるそうです。
 どこの国も高齢化が進んでいるので、急いで年金制度を再構築しなければなりません。
 その際のポイントとなるのは、どのような考え方で再構築するかということでしょう。

 日本も少し前に年金支給年齢が65才まで引き上げられ、その後も制度改正が行われています。その際のキャッチフレーズは100年安心プランです。支給額は物価変動率よりも低い率でしかアップさせず(物価が上がってもそれよりも低い率でしか年金がアップしないので、実質的な年金支給額を目減りさせる)、現役世代が払う保険料も年収の18.3%以上にしない(そのくらいにとどめておかないと、年収300万円程度の人であっても、所得税・住民税と合わせて3割程度が税・社保に消えてしまう)制度にしたために、そのようなキャッチフレーズになったのでしょう。年金財政を維持するために支給額・保険料を調整する手法をとったわけですね。

 では、イギリスでの支給年齢引き上げはどんな考え方に基づくのでしょうか。それは、「成人期間の1/3を年金受給期間とする」という考え方だそうです。成人になって死ぬまでの期間の最初の2/3の期間は働いて年金保険料を払い(年金を支える側に回り)、残りの1/3の期間だけ支えられる側に回るという考え方です。
 例えば、平均寿命が90年の国の場合、18歳で成人し、90歳になるまで72年間ということになりますから、その1/3である24年間にわたり年金を受け取ることになります。90年丸まる生きる(91歳になる直前になるくなる)とすると、67歳になった誕生日から91歳になる前日までの24年間が年金受給期間ということです。そして、平均寿命が延びればその分だけ受給開始年齢が高くなるということになります。
 イギリスは2050年時点の平均寿命を88~90歳程度と考え、2050年に90歳になる国民から年金受け取り年齢を67歳に引き上げるのでしょう。年金財政を維持するために受給期間を調整する手法をとったわけですね。

 支給額・保険料を調整する方法、受給期間を調整する方法など、各国でいろんな方法がとられているわけですが、私のような団塊ジュニアが受給ボリュームゾーンになるころには、また劇的な調整があるでしょうね。何か賢い方法はないものでしょうか。