簿記講座の講師ブログ

男女格差情報の公表

 皆さん、こんにちは。 
 簿記講座担当の小野です。
 徐々に涼しい時期になってきました。体調管理には気をつけていきましょう!

 2023年度から、従業員数301人以上の企業は、男女間の賃金格差を公表することが義務付けられました。男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合を公表するだけでなく、正規雇用者の中での男女の平均賃金格差、非正規雇用者の中での男女の平均賃金格差についても併せて公表することが求められます。

 社会的に、企業における女性の待遇を高めることが求められている現在、大企業だけとはいえ、男女間の賃金格差が公表されるのは重要なことであると思います。
 大企業は上場企業が多く、様々な投資家から資金を調達しており、その投資家はESGを重視しています。つまり、企業は、投資家から選んでもらえるように(投資家は男女格差が大きな企業の株を売りますから、その企業の株価が下がりやすくなります。だから、企業は投資家から株を売られないようにしなければなりません)、ESGの一環として男女差別がなくなるように行動しなければなりません。したがって、男女間の賃金格差を公表させることで、企業に男女間の賃金格差を縮めるように促すことになります。

 今回の情報公表は格差を縮める最初の一歩となるのでしょう。しかし、まだまだ十分ではありませんよね。
 正規雇用者と非正規雇用者に分けて男女間の平均賃金の差を公表するだけでは、それが男女差別に起因するのか、勤続年数に起因するのか(現状ではまだまだ出産によってキャリアを中断された女性が多くいるため、勤務している女性の勤続年数は男性の勤続年数より短いため、平均賃金も低くなるでしょう)など、どんな要因で平均賃金に差が生じているのか分かりません。
 また、男女間の差を縮めるために高いほうの賃金を低い方にシフトさせていく動きが出るかもしれません(だた、そういうことをするとライバル企業に転職する従業員も出るでしょうし、新卒の採用も難しくなるでしょうから、あまり心配しなくてもよいかもしれませんが)。

 情報を公表することは適正な状態に向かうために必須の手段です。
 必要な情報が必要なだけ提供されることによって、私たちがもっと適切に意思決定できるような社会になるといいですね。