簿記講座の講師ブログ

デジタル給与払いはうまくいく?

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 “食欲の秋”が近づいてきましたが、このまま食欲があがるとマズイ(おなか周りがどんどん大きくなる)今日この頃です。

 2023年4月から、いよいよ、給与のデジタル払いが解禁されるようです。現在は原則現金払い(例外的に銀行振り込み)となっている給与が、スマートフォン決済アプリの口座に入金されるようになります。

 この話題は、21年の春ごろに当ブログでも挙げた話題です。その時に、決済アプリ運営者が倒産したときの保証が必要という指摘をしましたが、今回の政府の発表では、決済アプリ運営者が倒産した場合に、4~6日程度で返金される仕組みが整えられるそうです。決済アプリ運営者が倒産を保障してくれる保険に加入して、仮に決済アプリが倒産した場合には、保険会社が利用者にお金を返してくれる仕組みとなりそうです。よかったよかった。給与がアプリ口座に振り込まれたけど、決済アプリ運営者が倒産したなんてことになったら、目も当てられませんからね。
 また、アプリ口座に入金できる上限額は100万円で、月1回は手数料無料でATMからアプリ口座のお金を引き出せるようにするそうです。現在は、決済アプリや電子マネー口座に入金すると、引き出せません(使うしかありません)。すべての支払先が決済アプリや電子マネーに対応していないでしょうから、仮に、勤めている会社が「給料を全額決済アプリ口座に入金する」なんて言い出したら、大変なことになります。
 自分の会社の取引先がYahooで、売上の多くがYahoo相手の場合、PayPayへの給料支払を拒める社長さんはいないでしょう。家賃の支払などはクレジットカードですら使えないことが多いですし、結婚式のお祝いはまだまだ現金で差し上げなければなりませんから、決済アプリ口座に給料の全額が振り込まれて、そのお金を引き出せないなんてことになったら、もう悲劇でしかありません。

 さて、こうやって考えてくると、せめて決済アプリ口座に入金される給料は一部であってほしいものです・・・。あと、決済アプリ口座から他の銀行口座などへの振り込みが可能になって欲しいです(それもスマホからの操作で)。
 そもそも、お金を決済アプリ口座や電子マネーにチャージするのが面倒だから、最初からアプリ口座や電子マネーに給料を振り込んでしまえ!という経緯で始まったのですから、アプリ口座や電子マネーからお金を引き出すときに手間がかかるなんてことになってはいけません。アプリ口座や電子マネーからお金を引き出すのが面倒くさいから銀行口座への振り込みを原則にするという新しいルールが必要になりますからね。

それは笑い話として、様々な手段が使えるようになるのは喜ばしいことですが、それを選択できる余地を残してもらえるようにお願いしたいですね。