簿記講座の講師ブログ

マイナ保険証の是非は全体のコスト・ベネフィットで判断

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 秋も深まってきて、寒い日が増えてきました。
 皆さん体調管理には十分気をつけて!

 とうとう2024年秋を目途に、健康保険証がマイナンバーカードに統合されることが決定されました。様々な意見(文句?)が出されていますが、最終的には解決したい問題(マイナ保険証導入で得られるメリット)と、そのコストを比べて、メリット>コストになるかどうかに注目した議論が必要でしょう。特定の人のコストだけを強調したりすると、話が変な方へ行ってしまいかねません。

 現在の問題点は、健康保険に関する事務がほとんどデジタル化されていないので、多くのムダが発生していると同時に、コストがかかりすぎていることです。そのデジタル化の手段としてマイナンバーカードが使われようとしているわけです。
 例えば、ある患者さんが別の病院に行ったときに検査や投薬が二重になってしまうということが多々起こりますが、これは患者情報がデジタル化され、病院間・薬局間で共有されれば防ぐことができます。
 また、不要な治療・投薬にもとづく請求もすぐにはじくことができますし、診療報酬に関わる事務をすべてネット上で完結でき、事務負担が大きく軽減されます。
 国(最終的には国民と企業)が負担する医療費と、医療機関や健康保険組合が負担する事務コストを大きく減らすことできるわけで、しかも毎年その軽減効果が発生します。
 現在医療費だけで年間60〜70兆円かかっていますから、5%削減できれば3兆円以上浮かすことできます。さらに事務負担の減少分が上乗せされます。おそらく毎年5兆円レベルでメリットが生じ、それがずっと続くわけです。

 それに対して、国民にとって、マイナンバーカードを取得するコスト(カード申請のための時間や、役所に取りに行くための時間・交通費など)がかかり、また、仮にシステムからマイナンバーに関する情報が漏洩して何らかの被害を受けた場合にはそれへの対応コストがかかります。例えば一人あたりのマイナンバーカード取得費用を5,000円とすれば国民全員で6,000億円くらいでしょうか。マイナンバーに関する情報が漏洩した際の被害額については見当もつきませんが、兆のレベルにはいかないでしょう。

 こう考えると、おそらく今回はメリット>コストになる気がします。
 ただ、既得権組の抵抗で、メリットの金額が小さくならないことを祈るばかりです。