簿記講座の講師ブログ

超富裕層への増税は難しい??

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 今日もがんばっていきましょう!

 2023年に超富裕層の一部を対象に増税することとなりました。
 これは「1億円の壁」と呼ばれる現象への対応です。

 「1億円の壁」とは1億円を超えると税負担率が下がる現象です。
 日本の所得税は超過累進課税制度です。つまり、所得が大きくなると税率も上がって、支払う税額は加速度的に増えます。例えば、200万円以下の所得には5%、330万円以下の所得に10%、695万円以下の所得に20%…というように、所得が大きくなるほど適用される税率が高くなり、4,000万円以上の所得に対しては45%も課税されます。
 しかし、一部例外があります。それは金融商品や土地・建物の売却益です。財テクでの儲けですね。金融商品や土地・建物の売却益に対しては、売却益の金額に関係なく、一律15%の課税です。
 所得が1億円を超える人の所得構成は給与は20%ほどしかなく、所得のうちの70%ほどが金融商品、土地・建物の売却益です。要するに所得が1億円以上の方々の所得の多くは財テクでの稼ぎであり、そこには15%しか課税されないので、財テクの稼ぎが大きくなればなるほど、所得総額に占める課税額が小さくなっていくというわけです。

 現在、社会保険料は上がりまくり、消費税も10%となり、物価も高まり、庶民の生活は3重苦に苦しめられています。そこで、少しでも不公平感をなくすため、所得が大きい人の税負担率が下がる状況を解決しようとしています。

 しかし、結果として増税できたのは、所得30億円以上の人に対してのみです。2025年から合計所得に対して22.5%課税されることになります。一歩前進ですが、所得30億円以上の人は全国でも200~300人。増税が始まる2025年までに様々な対策を講じるでしょうから、実質的にはほぼ増税できないという状態になるでしょう。

 NISAの拡充など多くの国民の貯蓄を投資に向けたい一方で、すでに多くの投資を行っている人からはたくさん税金を取りたい(当然、投資をやめる人も出てくるでしょうし、議員さん自身が課税の対象にならないようにする必要もあるのかも?)。公平な課税って難しいですね。