簿記講座の講師ブログ

EVだけでなく、電力のことも考えてね

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 私はまだ休み気分が抜けませんが、皆さんはもう通常モードに戻りましたか?

 サラリーマンのお財布にはキツい経済環境が続いていますが、今年から車関係の税金の負担が増えそうです。
 現在、EV・PHVは、自動車重量税が2回免除されます(購入時と1回目の車検時)。今後もEV・PHVは2回免除が続きます。
 一方、HV・ガソリン車・ディーゼル車は段階的に増税となります。例えば、2030年度の燃費基準(25.40km/l)を120%達成している車は、現在、自動車重量税が2回免除されますが、2025年5月以降は125%達成していなければ2回免除となりません。120%達成と言うことは燃費が30.48km/lということですが、もっとEV・PHVの燃費(電費)を改善させろというメッセージでしょう。
 そして、2030年度の燃費基準の達成度合いが低くなるにしたがって、免税のレベルも下がります。現在、
 ・燃費基準90%達成(22.86km/l):自動車重量税1回免税
 ・燃費基準75%達成(19.05km/l):自動車重量税が1回だけ半額
 ・燃費基準60%達成(15.24km/l):自動車重量税が1回だけ25%OFF
 ・燃費基準60%達成未満:優遇なし
という状態です。15.24km/l以上の燃費の車の自動車重量税だけが優遇されます。
 
 しかし、2025年からは
 ・燃費基準125%達成(31.75km/l):自動車重量税2回免除
 ・燃費基準100%達成(25.40km/l):自動車重量税1回免税
 ・燃費基準90%達成(22.86km/l):自動車重量税が1回だけ半額
 ・燃費基準80%達成(20.32km/l):自動車重量税が1回だけ25%OFF
 ・燃費基準80%達成未満:優遇なし
へと変更されます。

 おぉ~、これは! もうガソリン車には乗るな!ってメッセージですね。
 これにしたがって多くの国民がEVへ移行したとき、とても心配なことがあります。
 それは電気が足りるの?ってことです。
 現在ですら、少し寒くなって暖房需要が高まると節電要請が発令されます。
 そんな中EVも充電しなければならないわけですが、大丈夫なのでしょうか?
 例えば、40kwの蓄電池を載せたリーフの実航続距離は300kmほどと言われています。1日の走行距離は人それぞれだと思いますが、すべての車を平均して1日20km走るとしましょう。その場合、2.5~3kwほど消費するでしょう。
 日本では年間500万台程度の自動車が販売されています。そのうち20%(100万台)がEVに置き換わったら(現在のEV販売数は全体の4%)、毎日250万~300万kwほど消費電力が増えます。原発2~3基分です!

 このようにざっと計算すると、新車販売の10%がEVになるごとに、原発1~2基分の電力が必要となるわけです。もちろん、発電所は原発でなくてもよいわけですが、最終的に100%EVにすると、原発20基分くらいの電力を新たに生み出さなければなりません。

 日本は2035年までにガソリン車の販売を禁止する方向で、議論を進めています。あと12年で原発20基分の電力を確保できるかどうかという問題をクリアしなければ、「EVしか買えないけど、走らせるための電気がない」というシャレにならない状況となります。

 ヨーロッパは風力発電を主軸にした再生エネルギーを猛烈に普及させています。その上で、車を電動化させる戦略です。それに対して日本は車の電動化を進めていますが、その電源に関する議論はほとんどなされません(最近やっと大規模な風力発電が始められましたが、まだまだ電力市場全体に占める割合はほんの少しです)。

 さて、我々市民も2032年ごろからは、この問題に対する準備をしなければなりませんね。