簿記講座の講師ブログ

さすがにマイナスだったけど、あまり影響ないかも

 皆さん、こんにちは。
 簿記講座担当の小野です。
 別れと出会いの季節。悲しかったり、楽しかったり。

 先日、2022年10~12月期のGPIF(公的年金の積立金を運用する公的機関)の運用損益が、1.8兆円(0.97%)の損失と発表されました。金利上昇による資産価格の下落によって、特に債券の時価が下落し赤字となりました(国内債券は▲8,475億円、外国債券は▲2兆6,651億円、国内株式は+1兆5,670億円、外国株式は+926億円)。

 市場金利が上がると債券の価格は下落します。債券の利息は債券発行時に決められているからです。例えば、令和5年1月1日に国債が発行され、それを買うとしましょう。1月1日の国債発行時には1月1日の金利水準で利率が決められます。例えば、1%だったとしましょう。この国債を買えば、償還日まで毎年1%の利息をもらい続けることができます。
 ただ、3月31日にインフレなどにより市場金利が3%になってしまいました。3月31日に誰かにお金を貸せば3%の利息をもらえるのですが、1月1日に買った国債には1%利息しか支払われません。だから、1月1日に買った国債の魅力は低下してしまい、時価が下落するというわけです。

 ただし、償還日まで所有し続ければ損することはありません。貸したお金全額が返ってきます。ですから、長期投資を行っているGPIFの立場で考えれば、債券の時価が下がっても、実質的な影響はそれほどないと思われます。なぜなら、将来の年金支払のスケジュールを予想して、年金支払いを行うタイミングで国債の満期が来るようにしているからです(つまり、GPIFは債券を満期まで持ち続けることがほとんど)。

 一方で、この期間の株式の時価は上がっています。株価は企業の利益水準にある程度リンクし、その企業は値上げを行うことで利益を確保しています。また、新型コロナの影響がどんどんなくなっていて利益水準が高まっています。

 なお、過去20年の平均利益率は+3.38%です。2022年10~12月期の運用損益は▲0.97%でしたが、過去20年間、平均して3.38%のプラスで推移している状態です。

 年金積立金を運用することに批判もあります。投資をしていればいい時もあれば悪い時もありますが、圧倒的にいい時が多いのです。今後もどんどん積立金を増やしてもらいたいと思うのは私だけではないはずです。