簿記講座の講師ブログ

デジタル通貨って電子マネーと何が違うの?

 皆さん、こんにちは。 
 簿記講座担当の小野です。

 第161回日商簿記検定試験まであともう少しとなりました。
 準備の状況はいかがですか?

 世の中フィンテックがどんどん進化しています。銀行口座への振り込みに始まり、クレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済など、現金を使わずにお金を他人に送金する手段がどんどん増えていますね。電子マネーなんて多くなりすぎて、どれを使えばよいのか迷ってしまうほどです。

 そんな中、デジタル通貨なるものが取り沙汰されるようになってきました。デジタル通貨とは、通貨を発行する中央銀行(日本でいえば日本銀行)が発行する電子マネーのことです。現在は、中央銀行がお金を発行するときには紙に印刷しています。それが回り回って私たちの手元に回ってきます。私たちは電子マネー(例えばスイカ)を使うときには、紙で印刷されたお金をカードにチャージして、電子的に使っています(もちろん、銀行口座から直接スイカにチャージすることもできますが、銀行内に私が預けているお金が紙として存在しています)。
 
 デジタル通貨は、中央銀行が発行する紙のお金を電子データに置き換えたものです。つまり、デジタル通貨が流通すると、世の中から紙のお金をなくすということです(現実的には、紙のお金が少しずつ減っていって、デジタル通貨が少しずつ増えていって、いつの日が紙のお金がなくなるということになるでしょう)。

 デジタル通貨の普及を最も進めているのが中国で、一部の地方政府や銀行が、職員の給与をデジタル通貨で支払始めました。デジタル通貨を使うには、そのデータを保存する専用アプリが必要です。デジタル通貨の利用者は専用アプリをダウンロードして、そこにデジタル通貨を振り込んでもらいます。紙のお金とデジタル通貨は別物ですから、別々の財布で管理するイメージですね。

 デジタル通貨はその移動がすべてデータとして残ります。いつ誰が誰にいくら払ったのかがすべて記録されるわけです。ですからマネーロンダリングや脱税対策にはとても有効です。一方で、データ改変が可能ですから、偽造は紙のお金よりやりやすいかもしれません(もちろん、偽造対策もいろいろと施されているでしょう)。

 デジタル化の時代ですから、デジタル通貨への移行は当然のことなのでしょうが、お金のすべてが目に見えないデータになってしまうのは少し心配でもありますね。