簿記講座の講師ブログ

人口減少は初めてじゃない!

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 暑いし、ムシムシしてきたし、快適な環境を作るのが大変ですね! 

 現在、人口減少への対策が早急に求められています。
 皆さんもご存知の通り、2022年に生まれた新生児は80万人を割り、統計をとり始めた明治時代以降、最少となりました。その上、(あくまでもアンケート調査に過ぎませんが)結婚したら子どもを持つべきと考える人は、20代で37%となりました(数年前の同じ調査では67%)。つまり、若い人の人口がどんどん減っているだけでなく、その若い人たちのうち、子どもを欲しくないと考える人たちの割合が高まっています。
そこで政府は本当に焦ったのでしょうか? 「異次元の少子化対策」を主張し、いろいろと始めようとしているわけです。ただ、皆さんもお感じになっているかと思いますが、今、政府から提示されているメニューを見ても、「出生率が上がるだろうな」という期待はまったく持てません(哀)。

 では、私たちは日本滅亡を待つしかないのでしょうか? 
 ここでちょっと気になるデータがあります。それは、日本が過去3回、人口減少に見舞われたけど、その後また人口を増加させているというデータです。

 1回目の人口減少は縄文時代です。約26万人まで増えた人口が75,000人まで減りました。約1/4になってしまったわけです。現在、1億2,000万人の人口が2100年に5,000万人なるとかなんとか騒いでいますが、それを上回るレベルで人口が減少した時代があったのですね。
 2回目の人口減少は奈良〜平安時代です。奈良時代に600万人まで増えた人口が平安時代に500万人まで減りました。1/6の減少ですから、縄文時代の減少に比べるとそれほどインパクトはなかったのかもしれません。
 3回目の人口減少は江戸時代です。この期間は減少というより停滞期だったようで、3,200万人まで人口が増えたあと、しばらく増えない時期が続きました。
 これを踏まえると、現在は4回目の人口減少トレンドに入りかけたところで、周期的な減少と捉えることができるかもしれません。

 では、過去の人口減少はなぜ起こり、どのようにして増加に転じたのでしょうか?それは食料・エネルギーを獲得するシステムの変革期に関係していると言われています。あるシステムの中で食料・エネルギーを調達することが難しいくらい人口が増えてしまうと、食料・エネルギーを調達するシステムが変革するまで人口減が続き、そのシステムが変革するとまた人口が増え始めるということらしいのです。

 例えば、縄文時代は人力による狩猟採集社会です。人力を超える食料調達はできませんし、野生の動植物がいなくなれば狩猟採集できなくなります。そのため、一定数までしか養うことができず、人口を増やすことができなくなると同時に、余裕を持つために人口を減らすことになります(豊かさという経済的な要因も絡んでいますね)。
 その後、大陸から稲作が伝わり、生産・貯蔵社会が生まれました。また、水力・風力を利用することも考えられるようになりました。これにより、より多くの食料・エネルギー調達ができるようになり、また、豊かな暮らしが可能になり、人口増加トレンドが生まれたということです。

 このようにトレンドで人口減少が起きていると考えるならば、今、政府が行っている「異次元の少子化対策」はここ数年の凌ぎであり、本丸は「異次元の食料・エネルギーシステム変革」を通じた「豊かさ改革」でしょう。
 企業が農業に参入できるようになったり、自給率を高めるあるいは食料廃棄を少なくしたり、海外に依存しない太陽光や風力や水素でエネルギーを調達できるようにしたり、食料・エネルギーを入手するため人々のお金を増やす(給料を上げる)ことが、最重要政策でしょう。
 
 とすれば、実は政府はよくやっているのかもしれません。上で挙げた政策はすでに始められていますよね。あとは、国民がそれを受け入れてどこまで伸ばせるかということでしょうか。