簿記講座の講師ブログ

金利118%の世界!-アルゼンチンの続報-

 皆さん、こんにちは。 
 簿記講座担当の小野です。
 徐々に涼しい時期が近づいてきました。体調管理には気をつけていきましょう!

 5月22日のブログにて、アルゼンチンの金利が100%になった話を取り上げました。
 アルゼンチン政府は5月中旬に、108%のインフレに対応するために、政策金利を97%に引き上げました。物価が1年で2.1倍に、貯金が1年で2倍になる世界です。その後、うまくインフレは収まり始めたのでしょうか?
 
 アルゼンチン政府は、8月中旬に、7月のインフレ率が113%であったことを発表しました。インフレは収まる気配を見せないようです。そのため、アルゼンチン政府は、政策金利を118%に上げ、通貨を18%切り下げ、さらなる対策をとることにしました。

 5月22日にも書きましたが、インフレ対応の基本的手法は、市中の金利を上げることで企業がお金を集めにくくして、企業が行う経済活動を抑制する方法です。経済活動が抑制されれば景気は悪くなりますが、モノ・サービスが売れなくなるので、次第に値下げ圧力がかかり、インフレが解消していくことになります。しかし、アルゼンチンは金利を100%まであげてもインフレを緩和することができませんでした。そこで、今回、インフレ率<金利の状態にしたわけです。

 インフレ率<金利になると何が起こるでしょう? 
 現在、自分は100万円持っていて、欲しい商品が100万円で売られているとしましょう? インフレ率は113%ですから、この商品は来年の今頃213万円まで値上がりするでしょう。一方で、金利が118%ですから、現在持っている100万円を貯金しておけば、来年の今頃には218万円になります。
 つまり、来年の今頃、増えた貯金218万円のうち213万円だけおろして、その商品を買えばいい、商品も手に入るし、手元にさらに5万円余ります。こうなると、多くの人は急いで商品を買わなくなります。インフレで値上げされても、それ以上に貯金が増えるので、焦る必要がないのです。

 生活必需品についてはこの手法は通用しませんが、価格が高い耐久消費財(家、車、家電など)には有効な方法でしょう。そして、耐久消費財の産業には多くの人が関わっていますので、耐久消費財の消費を抑えると、かなり経済活動が抑制されることになると予想したのだと思います。これでインフレは収まるでしょうか? アルゼンチンに注目です!