簿記講座の講師ブログ

PDCAやらないの?

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 “食欲の秋”が近づいてきましたが、このまま食欲があがるとマズイ(おなか周りがどんどん大きくなる)今日この頃です。

 企業経営のいろはとしてPDCAは有名ですね。事業をPlan(計画)、Do(実行)、Check(チェック)、Action(修正)を繰り返して、より良いものにしていく手法です。民間企業であれば、計画(目標)を立てて、実際に計画を実行し、よかったところ悪かったところをチェックして、次の計画(目標)に反映させることで、日々の業務を行っているでしょう。企業活動はいいこともあれば、悪いこともあるので、そうやって自分自身を管理していかないと、ヘタすると倒産してしまうからです。

 一方、あまりCheck、Actionが行われない世界もあります。政府による政策です。様々な目的で様々な政策が実行されますが、それがうまくいったか行かなかったかというチェック(検証)がなされることはほぼありません。そのためか、そういった報道もありません。私たちが報道から知ることができるチェック作業は事業仕分けくらいでしょうか。
 
 だからでしょうか。大した効果もないのにこぞって採用されている政策があります。子ども医療費の無償化です。現在、多くの自治体で医療費の無償化が導入されており、半数弱の自治体が高校生まで、残り半数弱も中学生までの医療費を無償化しています。住民にとってみれば、とても安心ですよね。

 では、この政策は何を目的として、その目的をどのくらい達成できているのでしょうか? この政策の目的は子供の健康状態を高めることでしょう。しかし、東大の飯塚教授の研究によると、子どもの死亡率や入院確率に変化はなく、レセプトデータからはそもそも健康な子供の(念のための)受診が最も増えていました。
 当然ながら受診すればコストがかかります。窓口で親が支払う医療費はタダですが、働いている親の健康保険料が上がり、税金から補填されるため国の借金が増える(子供の将来の税金等がアップする)ことになります。
 つまり、目的はほとんど達成できていないけれどもコストだけがかかったというわけです。

 確かに、子どもは病気になりやすいし、ケガもしやすいので、医療費が無償化されているととても安心です。しかし、その裏で確実にコストがかかっています。最大の問題はこのような検証を政府が行わないことです。研究者が研究論文を発表したために、このような事実も明らかになったわけですが、そもそも政策を実行している政府・自治体がやるべき検証ですよね。もしここで、1回500円程度の受診料がかかるとすればどうでしょう? 完全に無償でなければ、健康な子供の受診、親が負担する健康保険料、子供が将来負担する税金等に大きな影響を与えるはずです。

 他にも、住宅ローン減税がずっと行われていますが、この減税でどれだけ建築件数が増えて、どれだけ経済を活性化させたかといった検証は行われていません。

 私たち個人は、医療費の無償化やローン減税など、自分たち個人の得になるけど社会全体で見れば損失になる可能性がある事柄について、結構無頓着です。最も税を無駄遣いしているのは、我々国民なのかもしれませんね。