簿記講座の講師ブログ

加熱する中学受験

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 今日もがんばっていきましょう!

 中学受験が過熱しているそうです。
 私が住んでいる千葉市は人口約100万人の年ですが、私立中学校は3つしかありません(あと、県立の中高一貫校が2校あります)。人口に比べて中学受験をする層がとても少ないためでしょうか、私自身にとって私立中学校受験は身近ではなく(息子たちが通っている公立学校から私立への受験者はほとんどいない…)、中学受験が過熱していると言われてもピンとこないのです。皆さんはいかがですか?

 一方で、都内の中学入試に対応した塾では、小4以降に塾に入ることが難しく、現在は、中学受験のために小1から塾に通うのが一般的になりつつあるそうです。私立中学は公立とは一線を画したカリキュラムが魅力的であり、探求型の学習・海外留学・部活動などに余裕をもって取り組める(それによって様々な能力を身につけて社会に出ることできる)ことが人気の理由だということです。もちろん、比較的学力が高い子が集まっているでしょうから、そこからの進学実績も魅力の一つでしょう。
 要するに、社会で指導的な立場(上級官庁の役人や、大企業のトップ層など)になれる可能性が高いから私立に行くということなのでしょう。

 そうであれば見てみたいデータがあります。私立中学校の卒業生がどのような進路をたどっているかというデータと、社会で指導的な立場にある方々の私立中学出身割合に関するデータです。
 例えば、日本全体で私立中学に通う中学生の割合は7.7%ですが、財務省のキャリア職(一種)や大企業のトップについている方のうち私立中学出身者の割合はどの位なのでしょうか? 日本で、キャリア職や企業トップのうち私立中学出身者の割合が20~30%(あるいはそれを超える)ような社会になっているのであれば、教育段階で格差が生じていて、それを取り返すことがとても難しい社会になっていることになり、日本全体としては大きな問題です。
ちなみに、東京では25.5%の小学生が私立中学に行きますが、私が住んでいる千葉は6.6%で第11位、山形・秋田は0%です(全員公立中学ということ)。つまり、東京の私立中学への進学割合が圧倒的に高く(かつ、東京の人口が最も多いため、中学生も多い)、それが全国平均を引き上げている構図です。
 
 公立中学の教育内容が私立中学よりも優れているということであれば、山形・秋田で教育を受けている中学生は、東京の中学生に比べてかなり不利ということになり、身についている能力の差がその後の社会人生活に大きな影響を与えます。また、トップ層の多くが私立中学出身であれば、その感覚で政策・経営戦略が決められます。まさに、現代において必要とされている多様性に反するうごきです。
 政治家・財務省が絶対に揮発油税に手をつけなかったり、経営トップ層(経団連)が消費増税を提言するのを見ていると、指導者層には多様性がないのかなと思ったりもします。
 
 いろんな人がいればいろんな意見が出て、いろんな取り組みが生まれます。
 その視点から、少し気になったニュースでした。