簿記講座の講師ブログ

企業の成績ってどう決めればいい?-その1-

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 暖かい日が続きますが、時折冷え込むことも。体調管理に気をつけましょう!

 日経平均株価がバブル後最高値圏をウロウロしています。これだけ株価が高いということは日本企業の成績がよいということでしょう。

 ところで、企業の成績って、誰がどうやって評価するんでしょうか。
 利益が大きければ良い成績なんでしょうか? 
 こんな疑問が浮かびますね。

 利益についていえば、規模が大きければ利益の絶対額は大きくなるに決まっています。街の電気屋さん(個人商店)の利益よりもヤマダ電機の利益が大きいに決まっているでしょう。街の電気屋さんが100億も200億も稼ぐのは難しいかもしれませんが、ヤマダ電機は100億くらい余裕で稼ぐでしょう。つまり、企業を評価する(企業の成績を考える)ときは、単に利益の金額だけから決まるものではなく、規模を考慮する必要があるということが分かります。

 また、成績は自分の頑張りだけで決まるものでしょうか? 自分がとても頑張ったとしても、競争相手がもっと頑張って自分よりも大きな成果を挙げたとすれば、その点が成績に反映されなければならないはずです。つまり、企業の成績には、企業自らの(企業で計算した企業の利益)だけではなく、他人の評価を取り込んだ指標が必要になります。

 このように、企業の成績は企業が作成する財務諸表の売上や利益だけで決まるのではなく、投資家等の評価も併せて考える必要があるわけです。投資家は株価を通じて、企業の評価を行っています。株価が高くなるということは、「その株を欲しい人>その株を売りたい人」という関係が成り立っているわけですから、株価が高いということはその企業を多くの投資家が評価しているという指標でもあります。

 そこでよく使われるのがPBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)です。
 PBRは株価を純資産で割って求めます。

  PBR=1株当たり株価 / 1株当たり純資産

 企業が設立された当初は1株当たりの出資額が1株当たりの株価だったはずです。ですから、企業のスタート時点ではPBRは1からスタートします。
 時間が経つと企業は成長します。利益の分だけ純資産(分母)は大きくなり、それに見合う分だけ株価(分子)も上がります。その結果、分母も分子も同じだけ上がりますから、PBRそのものは変わらず1のままです。
 一方、企業は成長の過程で帳簿には記録されない価値を生み出します。例えば、ブランドであったり、技術であったり、優秀な人材であったりです。ブランド、技術、人材などの無形資産は帳簿上の資産として記録されませんが、紛れもなく企業価値を高めるものであるため、その分だけ株価が上がります。
 つまり、PBRを計算する際の純資産(分母)は帳簿には記録された利益の分だけしか変化しませんが、株価(分子)は利益以上に大きくなります。ですから、順調に成長している企業のPBRは1より大きくなります。他の言い方をすれば、PBRが1より大きい企業は、投資家から帳簿に表れない価値を評価してもらっているということです。
 
 ではPBRのどこに、規模を考慮した利益が表れているのでしょうか?
 続きは次回!