簿記講座の講師ブログ

定年制廃止になる?

 皆さん、こんにちは。
 簿記講座担当の小野です。
 もうすぐ春です! リフレッシュしていきましょう!

 今年の1月、OECDが日本に対して働き手を確保するための提言を行いました。2年に1度程度、OECDは加盟国に対して、経済状況に関する審査・提言を行っており、今回、日本に対する審査・提言として働き手を確保するための提言がなされました。

 その中で、定年制の廃止と就労控えの原因となっている税制を見直して、高齢者や女性が働き手となりやすい社会を構築するよう提言しました。
 日本の労働者数は6,500万人程度で推移してきました。実は、人口の約半数しか労働していないという状態です。つまり、労働力人口が少ないから人手不足になっていて、それを解決するために高齢者や女性が働きやすい社会を創るような提言がなされたのでしょうか?

ただ、労働力人口の割合は諸外国に比べて低いわけではなく、アメリカやイギリスも約半数が働いていない状態で、日本とほぼ同様です。では、なぜ、日本で定年制の廃止と税制の見直しが求められているのでしょうか?

 大きな理由の一つは人権問題の解決としての手段です。年齢を条件として就業を認めない定年制は年齢差別に当たるとされる可能性が高い状況です。欧米では認められていないケースが多々あります。また、配偶者控除という税制上の優遇は性差別になる可能性が高い状況です。SDG’sも背景にあり、このような年齢差別・性差別を解消しながら、働き手も増やせる手段としての定年制の廃止・税制の見直しなのでしょう。

 ただ、根本的なところを考えると定年制の廃止・税制の見直しは短期的な解決手段であり、中長期的な解決には生産性を高めることが絶対に欠かせません。
 欧米も労働力人口の割合は約半数、日本も同じ、一方で、日本は人手不足の状況が強いということは、日本の方が同じ人数で生み出せるサービスが少ないということです。つまり、このような状況で、定年制の廃止を働き手の不足を補う手段にするということは、1人当たりが生み出すサービスを増やすのではなく、人海戦術でサービス量を増やせと言っているわけですね。

 しかし、日本の人口は今後減少することが確実ですから、定年制の廃止・税制の見直しで当座をしのいだとしても、中長期的には生産性を高める取り組みが欠かせないということになるでしょう。

 生産性の話は私が学生の頃からずっと言われています。
 もう20~30年ずっとテーマです。
 生産性を高める気がないのか? 生産性を高める手段がないのか? 生産性を高めようとする努力を邪魔する何かがあるのか? いったいいつになったら日本の生産性は高まるのでしょうね? 
実は、私を含めあまり生産の高くないサラリーマンがOECDに働きかけて、できる限り長く働く場所を確保するために発言させた陰謀だったりして…。