証券外務員講座の講師ブログ

大学の運用から見る資産運用①

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員専任講師の伊藤です。

海外を中心に、今や大学も資産運用に関して積極的に行うようになってきています。大きな流れとしては、大学基金が保有する資金を専門家に運用してもらい、投資収益を拡大していくこと。収益を大学の研究などに活用することも今後さらに拡大していく可能性があります。そこで、今回は、大学の運用がどのようになっているのか、それを個人の資産運用にも活かすことができないかどうか、考えていきたいと思います。

■大学基金の規模が海外ではけた違い
海外の大学では、大学基金による運用資金が日本とはけた違いとなっています。参考までに、2020年6月期におけるイェール大学の基金運用戦略を確認していきましょう。くにうみAI証券「日本の大学基金運用、海外の有名大学に追随へ―ハーバード大学やイェール大学ではオルタナティブ(代替)投資を積極化―」によれば、イェール大学の基金運用残高は312億米ドル。1ドル=140円で換算すると、およそ4兆3,680億円となります。この資金をどのように振り向けているかを示したのが図1になります。

<図1:イェール大学の基金運用戦略(2020年6月期)>

日本の大学基金運用、海外の有名大学に追随へ―ハーバード大学やイェール大学ではオルタナティブ(代替)投資を積極化―

このポートフォリオから言えることは、債券や現金の比率はかなり少なく、高い収益を求めてヘッジ・ファンドやオルタナティブ投資の比重を高めていることです。日本でこのような積極的な運用を行っている企業や大学はかなり少ないといってよいのではないでしょうか。しかしながら、これはイェール大学に限ったことではありません。ハーバード大学でもヘッジ・ファンドや上場株式、未公開株式に投資を行う比率が7割以上と積極的な投資が行われており、基金を活用してしっかり稼ぐ体質が構築されていると思われます。
 これだけリスクがとれるのは、証券や投資銀行出身の専門家に任せている側面が大きいと想定されます。経済情勢を考慮しながら、プロが大学の基金を運用し、成果を上げているのです。もちろん、こうしたポートフォリオはその時々の情勢に応じて臨機応変に変更しているものと思われます。

続きは次回にて。

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
上場会社等の業務に関する重要事実には、主要株主の異動は含まれない。

<解答> ×
上場会社等の業務に関する重要事実には、主要株主の異動も含まれます。