行政書士講座の講師ブログ

今年の本試験(2013年11月10日)まで、あと38日

【はじめに】

本試験まで38日となりました。
勉強は進んでいますか?

今回も、みなさんの受験を全力で応援するため、気がつ
いたことや、お問い合わせが多いことについて、書いて
みたいと思います。

今回と次回の2回は、受講生の方から、お問い合わせの
多い「民法における譲渡担保」について、お話します。

まずは、譲渡担保の意義とメリットについてお話します。

1、譲渡担保の意義
譲渡担保とは、民法には規定はないが、実務上の要請に
より認められてきた、いわゆる非典型担保の一つです。

譲渡担保は、端的に言うと、目的物の所有権をいったん
債権者に移転する形をとったうえで、期限に債務者が弁
済すれば物の所有権を取り戻すことができるという債権
担保の方法です。

質権や抵当権と同じように、契約によって成立するので
すが(約定担保物権)、質権や抵当権には無い、以下のよ
うなメリットがあることから、担保手段として幅広く利
用されています。

2、譲渡担保のメリット
債務者(設定者)側からすると、動産・不動産を問わず、
債務者(設定者)が自分で目的物を使用しながら担保に入
れることができる点がメリットです。

例えば、債務者(設定者)が、目的物を自分で使用しなが
ら担保にできるのは、抵当権も同じですが、抵当権は動
産には設定できません。
一方、質権ならば動産にも設定できますが、質権は債務
者が目的物を使うことができません。
これに対して、譲渡担保であれば動産を使いながら担保
にできるので、たとえば工場経営者が工作機械(動産)を
担保に入れたまま、それを使って生産活動を行うなどの
ことができます。

他方、債権者にしてみると、担保権の実行方法が簡単と
いうメリットがあります。
質権や抵当権の場合は、担保権を実行するには裁判所に
競売を申し立てなければならないのに対して、譲渡担保
の場合であれば、実行のために裁判所に競売を申し立て
る必要はなく、不動産業者に頼んで担保不動産を第三者
に売却し、その代金から優先弁済を受け、残金を債務者
に返すという簡単な方法でよいことになります(私的実行)。
このように、面倒な競売手続を回避できるのは、大きな
メリットです。

次回は、譲渡担保の成立、効力、実行についてお話します。

あと、38日!
がんばりましょう!!

フォーサイト専任講師 福澤繁樹

【メルマガ付録1 民法の一問一答】

<民法の問題  ○か×で答えて下さい>
1、転質権の債権額が原質権の債権額を超えることはで
きず、もし超えて設定された場合には、原質権の債権額
の範囲内で優先弁済を受け得るにすぎないことになる。

2、抵当権設定契約は、当事者の意思表示のみでは足り
ず、登記してはじめて成立する要式契約である。

3、将来発生する債権のために抵当権を設定することは
できない。

4、抵当権者には目的物の使用・収益権が認められない。

5、判例によると、甲が抵当不動産を不法占有している
場合において、抵当権者Aは、所有者Bの不法占有者に
対する妨害排除請求権を代位行使する余地はない。

<民法の解答・解説>
1、転質権の場合には、原質権の権利範囲内でしか優先
弁済権を認められません。従って、原質権の債権額の範
囲内で優先弁済を受け得るにすぎないことになります。
…○

2、抵当権設定契約は、当事者の合意により設定される
諾成契約です。…×

3、保証人が将来取得する主たる債務者に対する求償権
を被担保債権とする抵当権の成立など、将来発生する債
権についても抵当権の設定は認められます。…×

4、抵当権は、目的物の交換価値を把握する権利であり、
目的物の使用・収益はできません。…○

5、判例は、不法占有者の存在により抵当権の侵害を生
じているような場合には、当該抵当権者は、抵当不動産
の所有者の妨害排除請求権を代位行使できるとしていま
す(最大判平11.11.24)。…×

【メルマガ付録2 行政法の一問一答】

<行政法の問題  ○か×で答えて下さい>
1、審査請求が不適法であって、かつ補正が可能な場合
には、審査庁は補正を命じる必要 がある。

2、再審査請求は、原則として、審査請求についての裁
決があったことを知った日の翌日から起算して10日以内
にしなければならない。

3、処分庁は、弁明書を出す義務がある。

4、利害関係人から不服申立をすべき行政処分につき教
示を求められた行政庁は、常に書面によって教示をしな
ければならない。

5、審査請求人は、弁明書の副本が送付された場合には、
これに対する反論書を提出することができる。

<行政法の解答・解説>
1、審査請求が不適法であって、かつ補正が可能な場合
には、審査庁は必ず補正を命じる必要があります。補正
を命じないで却下した場合には、違法となります。…○

2、再審査請求は、原則として、審査請求についての裁
決があったことを知った日の翌日から起算して30日以内
にしなければなりません。…×

3、処分庁の弁明書は、審査請求人からの審査請求に対
する反論であり、反論するか否かは自由なので弁明書を
提出することは義務ではありません。…×

4、利害関係人が書面によっての教示を求めた場合に限
り、書面による教示をする必要があるのみなので、単に
教示を求められただけでは書面は不要です。…×

5、審査請求人は、弁明書の副本が送付された場合には、
これに対する反論書を提出することができます。…○

以上