行政書士講座の講師ブログ

成年後見の件数

皆さん、こんにちは!
フォーサイト専任講師・行政書士の福澤繁樹です。

今回は、最高裁判所事務総局家庭局が発表している「令和2年1月~12月の成年後見関係事件の概況」というレポートをご紹介していきたいと思います。

まず、このレポートは、令和2年1月から12月までの1年間における、全国の家庭裁判所の成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人選任事件)の処理状況について、その概況を取りまとめたものです。

それによると、成年後見関係事件全体では(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人選任事件)の申立件数は合計37,235件(前年は35,959件)で、対前年比約3.5%の増加となっています。

興味深いのは、内訳ですが、以下のとおりです。
①後見開始:26,367件
(前年は26,476件、対前年比約0.4%の減少)

②保佐開始:7,530件
(前年は6,745件、対前年比約11.6%の増加)

③補助開始:2,600件
(前年は1,990件、対前年比約30.7%の増加)

④任意後見監督人選任:738件
(前年は748件、対前年比約1.3%の減少)

以前から後見開始が一番多いのですが、この傾向は変わっていません。
注目すべきは、事件の総数は増加しているのに、後見開始は減少し、その代わり保佐開始と補助開始が増加しているという点になります。

ここからは私見ですが、私個人としては、保佐や補助が増加する傾向は健全だと感じています。その理由は、以下のとおりです。
例えば、病気で言えば後見というのは一番重い症状だと思います。順に、保佐、補助と軽くなっていきますが、病気というのはなるべく早い段階で医師の治療を受ける方がリスクは少ないと思います。
転じて、後見制度のような制度についても、後見のように重い症状になってから申し立てるよりも、保佐や補助の段階から申し立てて補助人等に介入してもらうほうがリスクは軽減されると考えるからです。

その意味で、今回の統計結果は、上記の趣旨に沿う結果であり、成年後見制度が世間でも少しずつ受け入れられるようになってきた証拠ではないかと感じています。

以上、令和2年の成年後見制度についてのご紹介でした。

今回は、このへんで。