保育士講座の講師ブログ

医療的ケア児

このところ、メディアでも取り上げられることが増えてきた医療的ケア児についてご存知でしょうか。
保育士を目指す方々にとっても関連がある内容なので、現状を押さえておきましょう。

医療的ケア児とは、医学の進歩を背景として、
NICU(新生児のための集中治療室)などに長期入院した後、
引き続き人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、
たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことをいいます。

全国の医療的ケア児(在宅)は推計約2万人いるといわれています。

今月、福岡県の小学校で、常に医療的ケアが必要な男子児童を初めて受け入れることになりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2ef20f31c445e4c1f9d10604a3be1a1d794ba92c

保育所に通園している間は、
地元の自治体などの制度で彼のために看護師と保育士がそれぞれ1人配置されていましたが、
彼の住む自治体では小学校に医療的ケア児を受け入れたことがなかったそうです。

教育委員会などによる検討の結果、
小学校に看護師が常駐することが打ち出され、晴れて入学が決定しました。
これからの小学校生活で、たくさんの思い出をつくれたらと思います。

令和3(2021)年6月に、
「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(医療的ケア児支援法)が公布され、
同年9月に施行されました。

医療的ケア児は、24時間のケアが必要になる場合も多く、
そのケアのために保護者が職を失ったり、新しい職に就くことが難しい状況があります。
また、保育所などが医療的ケア児を受け入れる場合、
受け入れのための体制整備などが必要となり、積極的に受け入れることは容易ではありません。

結果的に医療的ケア児は、保育所などの施設に通うことを断念せざるを得ず、
心身の状況などに応じた適切な支援を受けられないという問題が生じていました。

「医療的ケア児支援法」では、
「医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療、保健、福祉、教育、
労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、
切れ目なく行う」ことを基本理念として、
看護師の配置等保育及び教育を行う体制の拡充等、
日常生活における支援、医療的ケア児支援センターなどについて規定しました。

昨年施行された「医療的ケア児支援法」によって、
今後、医療的ケア児が充実した生活を送れるよう、
法整備や教育施設などに対する財政支援を含め、
彼らの生活を支援する枠組みづくりが進んでいくことを期待したいです。