日本は近年、少子化が進んでいます。
子どもの数は年々減少傾向にあり、特に地方では小中学校の統廃合が行われています。
政府は、少子化を食い止めるべく様々な施策づくりに余念がありません。
こうした政府の少子化に対する取組は、1.57ショックから始まっています。
今回は、試験でもよく出題される1.57ショックからの少子化対策をまとめました。
長いので、2回に分けてお送りします。
なお、1.57ショックから子ども子育て支援新制度までの語呂合わせを
以下のeライブスタディ(2022年9月26日開催)動画(46:54~)で出していますので、
参考にぜひご覧ください!
eライブスタディ<過去問総まとめ(社会的養護、社会福祉、子ども家庭福祉)>
❶1.57ショック
1990(平成2)年に前年の合計特殊出生率が発表されました。
それまで合計特殊出生率は、「ひのえうま」という特殊要因から
1966(昭和41)年が1.58と過去最低でしたが、
その年に発表された1989(平成元)年の合計特殊出生率は、それを下回る1.57でした。
政府は、出生率の低下と子どもの数が減少傾向にあることを問題として認識し、
仕事と子育ての両立支援など子どもを生み育てやすい環境づくりに向けての対策の検討が始まりました。
❷エンゼルプランと新エンゼルプラン
1994(平成6)年12月に今後10年間に取り組むべき基本的方向と重点施策を定めた、
「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(エンゼルプラン)が策定されました。
また、エンゼルプランを実施するため、保育の量的拡大や低年齢児(0~2歳児)保育、延長保育等の
多様な保育の充実、
地域子育て支援センターの整備等を図るための「緊急保育対策等5か年事業」が策定され、
1999(平成11)年度を目標年次として、整備が進められることとなりました。
その後、1999年12月に「少子化対策推進基本方針」と、
この方針に基づく重点施策の具体的実施計画として
「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(新エンゼルプラン)が策定されました。
新エンゼルプランは、従来のエンゼルプランと「緊急保育対策等5か年事業」を見直したもので、
2000(平成12)年度から2004(平成16)年度までの5か年の計画とし、
最終年度に達成すべき目標値の項目には、これまでの保育関係だけでなく、
雇用、母子保健、相談、教育等の事業も加えた幅広い内容となりました。
❸次世代育成支援対策推進法
その後、家庭や地域の子育て力の低下に対応して、
次世代を担う子どもを育成する家庭を社会全体で支援する観点から、
2003(平成15)年に地方公共団体及び企業における10年間の集中的・計画的な取組を促進するため、
「次世代育成支援対策推進法」が制定されました。
同法は、地方公共団体及び事業主が、次世代育成支援のための取組を促進するために、
それぞれ行動計画を策定し、実施していくことがねらいとされました。
❹少子化社会対策基本法
2003(平成15)年7月、議員立法により、
少子化社会において講じられる施策の基本理念を明らかにし、
少子化に的確に対処するための施策を総合的に推進するために「少子化社会対策基本法」が制定され、
同年9月から施行されました。
そして、同法に基づき、少子化社会対策会議が設置されました。
また、同法は、少子化に対処するための施策の指針としての大綱の策定を政府に義務づけています。
❺少子化社会対策大綱、子ども・子育て応援プラン
2004(平成16)年、「少子化社会対策基本法」に基づき、
少子化社会対策大綱が少子化社会対策会議を経て、閣議決定されました。
この大綱では、子どもが健康に育つ社会、
子どもを生み、育てることに喜びを感じることのできる社会への転換を喫緊の課題とし、
少子化の流れを変えるための施策に集中的に取り組むこととしていました。
そして、子育て家庭が安心と喜びをもって子育てに当たることができるように
社会全体で応援するとの基本的考えに立ち、少子化の流れを変えるための施策を、
国をあげて取り組むべき極めて重要なものと位置づけ、
3つの視点と4つの重点課題、28の具体的行動が示されました。
2004(平成16)年12月、大綱に盛り込まれた施策の効果的な推進を図るため、
「少子化社会対策大綱に基づく具体的実施計画について」(子ども・子育て応援プラン)を
少子化社会対策会議において決定し、
国が地方公共団体や企業等とともに計画的に取り組む必要がある事項について、
2005(平成17)年度から
2009(平成21)年度までの5年間に講ずる具体的な施策内容と目標を掲げました。