保育士講座の講師ブログ

どう違う?ESDとSDGs

最近、ESDSDGsという言葉を耳にすることが増えてきました。

保育士試験でも、平成30年前期の教育原理でESDの概要を問う問題、
令和4年前期の教育原理では、
外務省資料「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」(下記URL)に示された目標について問う問題が出題されています。

どちらもアルファベットの略称なのでどういった意味なのか想像がつかず、
難しく感じられるかもしれません。

今回は、今注目されているESDSDGsが意味するものを見ていきましょう。

まずESDについてです。
ESDは、Education for Sustainable Developmentの略称であり、
日本語では、持続可能な開発のための教育と訳されます。
2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」で日本政府が提唱した考え方です。

世界には気候変動、生物多様性の喪失、
資源の枯渇など人類の開発活動に起因する問題があります。
ESDとは、これらの現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、
身近なところから取り組む
(think globally, act locally)ことで、
問題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すことを目指して行う学習・教育活動です。
つまり、持続可能な社会をつくるために学び合い、
それに向かって行動できる人を増やしていく教育活動です。

ESDは、「国連持続可能な開発のための教育の10年」(2005~2014年)などに基づき、
ユネスコを主導機関として国際的に取り組まれてきました。

持続可能な社会というと、エネルギー問題や環境問題を思い浮かべがちですが、
ESDでは、地域の伝統文化の保存や、広い視野から国際理解を深め、
国際社会に生きる日本人としての自覚を高めることも重視されています。

日本では、ESDの取組として、菜の花を通して循環可能なエネルギーについて学ぶ体験学習や、
地域の外国人居住者と防災訓練を通した相互理解など、さまざまなことが行われています。

次は、SDGsです。
SDGsは、Sustainable Development Goalsの略称であり、
日本語では、持続可能な開発目標と訳されます。

2015年の国連サミットにおいて、先進国を含む国際社会全体の目標として採択され、
「誰一人取り残さない(leave no one behind)」社会の実現が目指されています。

SDGsは、2030年を期限とする包括的な17目標(貧困、飢餓、保健など)で構成され、
その下に169のターゲットと231の指標が決められています。

SDGsには、
目標4として「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯教育の機会を促進する」とする教育分野の目標があります。

この目標4のターゲットの1つとしてESDが位置付けられています。
さらにESDは、SDGsの17全ての目標の実現に寄与するものであることが、
第74回国連総会において確認されました。

持続可能な社会の創り手を育成するESDは、
持続可能な開発目標を達成するために不可欠である、
質の高い教育の実現に貢献するものとされています。

ESDとSDGsについて概略的に見てきました。
社会的にも今後より一層注目されるだけでなく、保育士試験でも再び出題される可能性があります。

細かく覚える必要はないので、このブログで取り上げた概要はぜひとも押さえ、
余裕があれば、以下のリンク3ページ目に記載されている17目標の見出しも見ておきましょう。

外務省資料「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf