保育士講座の講師ブログ

乳幼児突然死症候群(SIDS)

今回は保育士試験でもよく出題され、乳児に多くみられる、
乳幼児突然死症候群(SIDS)について解説します。

 

SIDSは、主に生後2~6か月頃の元気な赤ちゃんが眠っている間に突然死亡してしまう病気ですが、
まれに1歳以上でも発症することがあります。

 

日本での発症頻度はおよそ出生6,000~7,000人に1人と推定されています。

 

赤ちゃんが突然亡くなることは、
生まれつきの病気や感染症、窒息事故などによっても起こることがあります。
しかし、乳幼児突然死症候群はそれらと異なり、
何の予兆や既往歴もない赤ちゃんが睡眠中に突然死に至る、原因不明の病気です。

 

また、多くが寒い時期に発生しています。
このため、厚生労働省は、毎年11月をSIDSの対策強化月間と定め、
SIDSに対する社会的関心を喚起するため、
発症率を低くするポイントなどの重点的な普及啓発活動を実施しています。

 

2021(令和3)年には81名の乳幼児がSIDSで亡くなっており、
乳児期の死亡原因としては第3位となっています。

 

SIDSについて、日本はもちろん世界各国で様々な調査研究が行われていますが、
原因の解明には至っていません。
そのため、予防方法が確立していないのが現状です。

 

予防のためには、
これまでの研究などから次のような対策が必要だと考えられています。

❶ 1歳になるまでは、仰向けに寝かせる。
❷ 睡眠中の部屋は暗くしない。
❸ 毛布やタオルが顔にかからないようにする。
❹ できるだけ母乳で育てる。
❺ 保護者などはたばこをやめる。

 

では、2023(令和5)年前期筆記試験
「子どもの保健」問6で出題されたSIDSについての問題を解いてみましょう。

 

次のうち、乳幼児突然死症候群(SIDS)に関する記述として、
適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 生後3か月前後に多い。
B 予防のため、寝かせるときはうつぶせ寝にする。
C 予防のため、同居の家族等がたばこを吸わないようにする。
D 保育所では、乳児部屋は保育者が常駐し、定期的に呼吸などをチェックする。
E 予防のためには、乳児の体を冷やさないように、衣類や布団を多めに使用する。

 

A 生後3か月前後に多い。


適切です。

 

B 予防のため、寝かせるときはうつぶせ寝にする。


うつぶせ寝ではなく、仰向け寝にしなければなりません。
SIDSの対策に限らず、乳児をうつぶせ寝させることは窒息につながり非常に危険です。

 

C 予防のため、同居の家族等がたばこを吸わないようにする。


たばこは、SIDS発症の大きな危険因子になります。
妊娠中の喫煙は、お腹の赤ちゃんの体重増加を妨げ、呼吸中枢にも悪影響を及ぼします。

 

D 保育所では、乳児部屋は保育者が常駐し、定期的に呼吸などをチェックする。


万が一SIDSが疑われる症状がみられた場合に迅速に対応できるように、
定期定なチェックを怠らないようにする必要があります。

 

E 予防のためには、乳児の体を冷やさないように、衣類や布団を多めに使用する。


衣類や布団を多めに使用すると、
それらが乳児の顔に覆いかぶさって窒息につながる恐れがあります。

 

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、子どもの保健を始め、
保育の心理学や子ども家庭福祉でも出題されやすい頻出事項です。

しっかりと押さえておきましょう。