保育士講座の講師ブログ

外国籍の子どもに対する保育所の支援について問う問題が増加しています

日本に住む外国人の数がここ数年増加傾向にあります。

出入国在留管理庁によると、2023年6月末時点の在留外国人数は322万3,858人であり、
2022年末から14万8,645人増加し過去最高となりました。

日々の生活の中でも、以前に比べて外国人を見かける機会は格段に多くなったと感じます。

こうした外国人の増加に伴って、保育所でも外国籍の乳幼児が増加しています。
また、日本国籍であっても両親のどちらかが外国籍であるなど、
外国とさまざまなつながりがある子どもも増加傾向にあります。

こちらの記事では、園児の半数が外国籍という保育所の例が取り上げられています。
『園児の半数が外国籍』の保育園 保護者も「ほとんど日本語が読めない」 対応求められる現場は“日本の小学校進学”見据え危機感も(MBS NEWS)

 

過去の出題例

 

上記の記事のような保育所は少ないかもしれませんが、
今後外国籍の園児は確実に増加すると見込まれています。

こうした傾向を踏まえ、
保育士試験でも外国籍の子どもに対する支援の在り方を問う問題が出題されています。

<出題例>

R5後期 子ども家庭福祉 問13
(外国籍や外国にルーツをもつ家庭の子どもの保育)

R5前期 保育原理 問14選択肢B

R5前期 保育の心理学 問15
(保育所における、外国籍家庭や外国にルーツをもつ家庭の状況への理解と支援)

R5前期 子ども家庭福祉 問17
(令和3年度の外国籍の児童生徒)

 

R5前期では外国籍の子どもに関して多くの問題が出題されましたね!

 

「保育所保育指針」には外国籍の子どもへの支援についてどう書いているか

 

「保育所保育指針」第4章「子育て支援」2「保育所を利用している保護者に対する子育て支援」⑵「保護者の状況に配慮した個別の支援」には次のようにあります。

ウ  外国籍家庭など、特別な配慮を必要とする家庭の場合には、状況等に応じて個別の支援を行うよう努めること。

 

また、これについて「保育所保育指針解説」には次のようにあります。

「外国籍家庭や外国にルーツをもつ家庭、ひとり親家庭、貧困家庭等、特別な配慮を必要とする家庭では、社会的困難を抱えている場合も多い。例えば、日本語によるコミュニケーションがとりにくいこと、文化や習慣が異なること、家庭での育児を他に頼ることができないこと、生活が困窮していることなど、その問題も複雑化、多様化している。また、多胎児、低出生体重児、慢性疾患のある子どもの場合、保護者は子育てに困難や不安、負担感を抱きやすい状況にあり、子どもの生育歴や各家庭の状況に応じた支援が必要となる。
こうした様々な問題に不安を感じている保護者は、その悩みを他者に伝えることができず、問題を抱え込む場合もある。保育士等は保護者の不安感に気付くことができるよう、送迎時などにおける丁寧な関わりの中で、家庭の状況や問題を把握する必要がある。子どもの発達や行動の特徴、保育所での生活の様子を伝えるなどして子どもの状況を保護者と共有するとともに、保護者の意向や思いを理解した上で、必要に応じて市町村等の関係機関やかかりつけ医と連携するなど、社会資源を生かしながら個別の支援を行う必要がある。」

 

抽象的な内容なので難しく感じるかもしれませんが、
重要なことは日本人の家庭に対する支援と同じく、
保護者の困りごとにしっかりと耳を傾けることです。

その上で、言葉の壁によるコミュニケーション不足を補うためにも、
連絡帳に書く文章はできるだけ平易にしたり、
会話をする際はゆっくり話すといった個別の対応が必要になるでしょう。

また、異なる文化の多様性を尊重し、多文化共生の保育を進めていく姿勢も求められるため、
無理に日本語を覚えさせるといったことは決して適切な対応ではありません。

試験では、
「保護者の状況に耳を傾けること」
「保護者の意向を尊重すること」
「異なる文化を尊重すること」といった点を押さえて、確実に正解を選べるようにしておきましょう。