危険物取扱者乙種4類講座の講師ブログ

熱力学とは④

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の姥谷です。

前回は熱力学のうち「熱膨張」についてご紹介しましたので、今回は熱力学のうち「物質の三態と熱膨張率」をご紹介していきたいと思います。

熱膨張は、①固体、②液体、③気体によって以下のように異なります。

①固体
固体の熱膨張は、体積の変化と長さの変化について考えます。棒状の固体の場合は、体積の膨張である体膨張に加え、長さの膨張である線膨張も考えます。

一般的に、固体の体膨張率は、線膨張率の約3倍になります。これは、線膨張が長さのみの1方向の膨張であるに対して、体膨張が縦・横・高さの3方向の膨張であるためです。

②液体
液体の熱膨張は、固体の場合とは異なり、体膨張のみについて考えます。タンクや容器に液体の危険物を入れる場合、空間容積を必要とするのは、この体膨張と関係するためです。

液体危険物の運搬容器との関係ですが、運搬容器に液体の危険物を入れる際、法令で、内容積の98%以下の収容率にすることや55℃の温度でも漏れない空間容積が必要とされています。これは、熱膨張により液体危険物が漏れないようにするためです。

③気体
気体の熱膨張は、液体の場合と同じく体膨張のみ考えます。気体の体膨張率は、固体や液体と比べて非常に大きいという特徴があります。また、気体の体膨張率は、圧力と温度の変化に関係し、圧力に反比例し、温度に比例します。気体の体膨張率はシャルルの法則に従い、どの気体でも圧力が一定の場合、温度が1℃上がるごとに0℃のときの体積の273分の1ずつ膨張していきます。

②で見たように、法令での学習事項の裏付けとして、液体危険物の運搬容器というテーマが関連してきます。

このように3科目は、決してバラバラな科目ではなく、相互に結びついてくることがありますので、一通り学習することによって、知識が強固になる場合があります。

今回は熱力学のうち「物質の三態と熱膨張率」についてご紹介しましたので、次回からは「電気」についてご紹介していきたいと思います。