公務員試験対策講座の講師ブログ

対比(比較)の構造を持つ現代文

さて、今回も直前期の方向けの「あと1点」です。

現代文において対比の構造を持つ文章には非常に多く出会いますよね。
東洋と西洋あるいは現在と過去、若者と大人等々文章を書く人は比べながら話をするのがとても好きみたいです。
その上で、文章全体の内容としてAとB対比させたものに関する新しい見方を提示するのか、あるいは「こちらが優位である」というような意見を提示するのかは文章によるのはご存じのとおりです。

さて、今回はそんな現代文の選択肢の分析です。
(といっても、出典の文章は著作権の関係で非公開です。ですからこのブログを書く時点で原文を読んだわけではないので、選択肢を見て推測しただけですが…。)

ただそれでも選択肢を見て、なんとなく、これとこれを対比させているなというのはお気づきいただけるのではないかと思います。

1. 日本人とヨーロッパ人の民族的美感はしばしば対立するが、それは、ヨーロッパの人たちが単純なものを好まないからである。
2. 日本の民族楽器は、一般的なヨーロッパの楽器と比較して、構造的には単純だが、音色は複雑である。
3. ヨーロッパ音楽ではリズムは機械的な周期的反復であり、邦楽ではこのようなリズムのことを「間」と呼んでいる。
4. ヨーロッパと日本では民族的美感は異なるが、第一義的な時間的秩序を音と音との間に求めている点は、同じである。
5. 日本とヨーロッパでは、空間や時間に対する考え方は異なっているものの、音楽におけるリズムの複雑さはほぼ同じである。

(出典:令和2年度都庁Ⅰ類B)

いかがでしょうか?
日本(人)とヨーロッパ(人)を対比させていそうですね。

さて、そもそも「対比させる」というのは「若者と大人」のように違うものを並べているわけです。
つまり、「違うもの」である以上、文章としても共通点を指摘することはあまり意味がないというか、非常に難しい作業になります。
ここから、選択肢として「AとBは同じです!」というのが正解にはなりづらいと考えられないでしょうか?

そう考えて今一度選択肢に目を通せば、

4. ヨーロッパと日本では民族的美感は異なるが、第一義的な時間的秩序を音と音との間に求めている点は、同じである。
5. 日本とヨーロッパでは、空間や時間に対する考え方は異なっているものの、音楽におけるリズムの複雑さはほぼ同じである。

このあたりの選択肢が怪しく見えてくるわけです。

本問の正解は2でした。