簿記講座の講師ブログ

投資の要素も少し欲しい!

皆さん、こんにちは。

簿記講座担当の小野です。

湿めっぽい日が多くなってきました。体調管理にはお気を付けて!

緊急事態宣言が解除され、そろりと動き出す経済。第2波・第3波にそなえて注意深くやっていくのは当然としても、可能な限り、経済の復活も必要になってきますよね    (もちろん、安全が最優先!)

そこに政府が200兆円ものお金を投入しようとしています! 年間の国家予算の約2倍という大きな金額ですが、これで十分なのかそれとも多すぎるのか、政府にこんなお金はあるのか、疑問は尽きません。

十分か十分でないかは、人によって感じ方も違うだろうし、何とも言い難いですね…。

ただ、1つ注意しておくのは予算と事業規模の違いです。200兆円と言われているのは事業規模で、実際の政府の支出は50兆円くらい(真水という)です。

政府自身が50兆円使う(消費する)のが50兆円、その他貸付などで150兆円の資金を投入し、結局、経済全体で200兆円が動くというイメージです。だから、政府の取り組みとして注目したいのは真水の50兆円です。

これが多いか少ないかの評価はちょっと難しいけど、このお金を“生きた”お金にする必要があることは間違いないでしょう! 単にバラまくんじゃなくて、きちんと優先順位をつけて、目的をもって投入していく必要があると思います。

じゃぁ、きちんと優先順位がつけられているのでしょうか? つけられているような、 いないような…、まちまちな感じがします。

まず優先順位が高いのは、何といっても人々の生活支援だと思います。

第1次補正予算では真水が25兆円くらいでしたが、そのうち約20兆円が人々への給付でした。例の10万円の給付金や中小企業の資金繰り支援が含まれていました。

第2次でも真水が25兆円くらいですが、個人への給付はひとり親家庭の支援、学生さんの支援、芸術家・アスリートの支援といったピンポイント型で、多くが中小企業の存続の ための予算になっています。
中には店舗の家賃負担を軽減するために600万円の給付を受けれるケースもあるみたいです。

そうなると、一般的な個人のみなさんは大丈夫なのかな?と思ってしまいます。ピンポイントの支援が増えてはきましたが、まだまだ厳しい状態にある人はたくさんいると思いますし。会社がなくなったら元も子もないというのは分かるけど、もう少し個人への給付があってもいいかもしれませんよね。

それで政府にお金はあるのでしょうか? やっぱり借金なのでしょうか? 

報道によると、政府にお金はないから、ほとんど借金に頼ることになりそうです。

では、この借金をどうやって返すのしょうか?

残念ながら、この点についての議論は聞きません。

ちなみに、東日本大震災の事業費は2013年から25年間、所得税増税(プラス2.1%)で回収します。今回の真水が50兆円なら、ほぼ復興事業費と同じとなり、ちょっとやそっと増税したくらいでは1年間で返済することはできなさそうです。

すると、25年・30年かけての増税となるのでしょうか? 増税の話はしたくないけど、いずれはその問題は避けられませんよね。

ということを考えると、国民の生活を守る支援のためのお金は必要だけど、一方で、きちんと、投資に当たる部分も欲しい!と思います。

* 例えば、第1次補正予算では「中小企業デジタル化応援隊事業」に100億円投入されました。この事業は、IT専門家が中小企業の生産性を上げる取り組みを行う事業です。実際、生産性が上がって、利益が増えて、納税額が増える可能性があります。政府にとってみれば、うまくいけば今後ずっと良い影響をもたらす可能性がある“投資”に当たる使い方ですよね。

一方、Go Toキャンペーンに2兆円投入されるけど、単に旅行者の旅行費用を補助するだけではなくて、将来何かを生み出し続ける“投資”のような補助の仕方ができないでしょうか? そうしないと、今、使って終わり、というお金になってしまいます! 完全に、現在の日本国民が将来の日本国民をATMにしている状態です。

しかも、その事業の進め方に何十億円も中抜きする役人OBがかかわっている会社があるとかないとか…。こんなことは、できる限り、避けなければなりません。

世界を見渡せば、ここぞとばかりに、産業育成(特にデジタル関連)のための資金投入をしている国もあります。

そんな国々がさらに効率的になって、日本に差をつけるようなことなると目も当てられません。投資ばかりではいけませんが、お金を使う以上、少なくともその一部には、将来への種まきの要素が欲しいところですね。