皆さんこんにちは。講師の能城です。
早いもので、年が明けてからもう半月経ちました。
年々時間が経つのが早く感じますが、年末年始は特にそうです。
そんな正月ですが、ひどい事件がありましたね。
成人式の着付け会場に、着物の販売・レンタル業者が来なかったという、あの事件です。
犯罪や不正行為は相変わらず多いですが、最近は「そこまでしちゃダメでしょ。」
という事件が多いように感じます。モラルハザードどころではありません。
本人や家族にとって、人生の区切りとなる、一生に一度の晴れの日を台無しにしました。
話は変わりますが、年が変わる頃から旅行管理者試験の学習をスタートされる方が多いです。
旅行業法から始めると、最初の方に登録や営業保証金が出てきます。
晴れ着の事件のニュースを見て、
「営業保証金のように、被害者を救済する為の制度はないのかな?」
と考えた人もいらっしゃるのではないでしょうか。
旅行業者が供託する営業保証金は、昭和27年に旅行業法の前身である「旅行あっ旋業法」で規定されました。
(同じ年に成立した「宅地建物取引業法」にも同じ規定があります。)
当時規制のなかった旅行業界へは、“…外客の来訪及び邦人の国内旅行の増加に伴い、…
業者の数も急激に増加した。 … その中には悪質業者も少くなく、… わが国国際観光事業の将来に暗影を投じ、国際親善 …
にも悪影響を及ぼす」という懸念があったそうです(国会での趣旨説明より)。
そこで、“営業保証金を供託せしめ、以て無資力の者の業界に輩出いたしますことを予防いたして、
併せて事故の場合の弁償に当てる(同)”という制度が生まれました。
不動産業と旅行業は性質が違いますが、悪質業者からの被害の予防が急務という点で、
当時は共通していたのでしょう。
着物販売・レンタル業を始め、他の業種にはこのような制度はありません。
また、営業保証金制度や弁済業務保証金制度も万能ではありません。
昨年話題になったになった旅行会社の倒産の場合、
旅行者一人当たり平均すると旅行代金の3~4%程度しか返金できないそうです。
現状の法制度の下では、大金を前払いする契約はより慎重にならざるを得ませんね。