旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

どんとこい、総合試験! -JRの特例(1)運賃計算のポイント

 国内管理者試験も終了し、総合管理者試験まで余すところ50日ほどとなりました。全科目受験の方は、国内試験もW受験された方が多いと思います。一息つく間もなく総合試験対策に取りかからなければならず、大変お疲れさまです! もう少しなのでがんばりましょう。

 今月と来月の試験までは、「総合試験対策」として、さまざまな実戦的ヒントをご紹介していきます。
今回と次回は、JR問題のうち、しばしば難問となる「特例」についてお話します。

 JR運賃料金分野では、特例計算が多く出題されています。この特例ルールが、多くの受験生の方を悩ませています。JRには特例ルールが非常に多いのですが、実際に試験に出題される特例ルールは限られています。特例ルールを十分理解することこそがJR問題を制するカギであり、同時に国内旅行実務で足切り点をクリアすることにつながります。更に、合格にも直結する重要なテーマです。

 以下、試験で出題される特例ルールを見ていきましょう。紙面の関係上、詳細な解説はテキストや問題集の解説をご参照いただくとして、特に注意すべき点を掲げます。
 今回は、運賃計算に関わる特例その他の規則です。その大定番が、「特定都区市内発着」と「通過連絡運輸」です。料金関係は次回にお話します。

1.基本的な注意事項
 特例ルールが適用される場合、行程の下あたりに何らかのことわり書きが表示されます。ただし、これ自体が引っかけとなっていることもあるので、行程を見ながら慎重に判断してください。
・「○○駅は××市内に属する駅である」 →特定都区市内発着の特例
・「○○鉄道は、JRと通過連絡運輸の取扱いを行っている」 →通過連絡運輸の特例
・「○○駅は××近郊区間に属する駅である」 →近郊区間内駅相互発着の特例

2.特定都区市内発着
 最も代表的な特例ルールです。この特例は、「中心駅発着で営業キロ数を確かめる」ことがポイントです。このとき、特例が適用されるかどうか、必ず「営業キロ」で確認することが大切です。実際の乗下車区間はとりあえず無視して、中心駅発着で営業キロが200キロを超えるかどうか確認してください。換算キロ、擬制キロ、運賃計算キロは絶対使わないでください。
 ただし、運賃計算をするときは、通常通りのキロ計算です。しばしば、運賃計算キロでは200キロを超えるが、営業キロでは200キロ以下の行程も出題されます。キロ計算で惑わされないように注意しましょう。
 また、出発駅又は到着駅が含まれる特定都区市内では、途中下車ができないことにも注意してください。
※令和3年度の問26は、一見、特定都区市内の特例を適用するかに見えますが、実は単なる片道普通運賃の計算です。かつてないほどの難問なので、復習の際は、この問題は無視してください。

3.通過連絡運輸
 会社線区間の前後のJR区間のキロ数を通算しますが、このときに、会社線区間のキロ数まで含めて通算しないこと。これさえわかれば、むしろ得点源の問題です。JRの一方が幹線、他方が地方交通線の場合には、通常どおり幹線の営業キロ+地方交通線の換算キロ(擬制キロ)を通算します。
 通過連絡運輸は、上記の特定都区市内ルールと組み合わせて出題されることも多いです。
 また、料金にかかわる問題も出ますので、これは次回にお話します。

4.近郊区間
 多くは文章問題が出題されます。同一近郊区間内の駅相互を利用する場合、次のルールがあります。すべて、実際に乗車するキロ数にかかわらず適用されることがポイントです。
・乗車券の有効期間は1日(当日限り)
・途中下車はできない(途中下車した場合は、乗車券は前途無効となる)
・実際の乗車経路にかかわらず、最短経路で運賃を計算する(これはあまり出ません)

5.その他の特例など
 上記以外の運賃計算の特例は非常に出題が少なく、無視してよいレベルです。
特例ではありませんが、幹線と地方交通線またがり、本州と3島またがりという基本知識もしっかり復習しておきましょう。上記の特例と重なって出題されることもあります。