旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

今に生きる旧国名(2)鉄道にも旧国名が・・・

 日頃、通勤通学でJR線をお使いのことが多いでしょう。

 私は埼玉県在住なので、都内に行くときは高崎線を使います。この「高崎」も、もちろん地名ですね。全国のJR路線には、その沿線にちなんだ名称が付けられています(東北本線の一部が「宇都宮線」と呼ばれているように、別途愛称が付けられている路線もあります)。だいたいは、その路線が通る沿線地名にちなみ名称が付けられています。同一県内路線では越後線、相模線などストレートに旧国名が付けられていますが、むしろ少数派で、多くは2以上の地名から合成されたものが命名されています。
 かつては、JR路線名と沿線観光地に関する問題が出題されていました。鉄道ファンは大喜び、非鉄道ファンは大泣きの難問でした。現在はほとんど出題されていませんので、今回の話は余り試験対策としてはお役に立たないかも知れませんが、息抜きのつもりでお読みください。

 合成名称の主なものを挙げてみます。
・石北本線(北海道・新旭川駅〜網走駅間)…石狩と北見から1字ずつ取り命名。
・奥羽本線(福島駅〜青森駅間)…陸奥(青森)と羽前(山形)・羽後(秋田)を通ることから。
・羽越本線(新津駅〜秋田駅間)…羽前(山形)・羽後(秋田)と越後(新潟)を結ぶ路線。
・常磐線(日暮里駅〜岩沼駅間)…実質、上野〜仙台間。沿線の常陸(茨城)、磐城(福島東部)から命名。
・総武本線(東京駅〜銚子駅)…武蔵(東京)と上総・下総(千葉)を結ぶことから。
・信越本線(高崎駅〜新潟駅)…信濃(長野)、越後(新潟)を通ることから。ただし、北陸新幹線開業後はブツ切り状態。
・紀勢本線(亀山駅〜和歌山駅)…紀伊(和歌山)と伊勢(三重北部)を通ることから。
・伯備線(倉敷駅〜伯耆大山駅)…実質、岡山〜米子間。伯耆(鳥取西部)と備前・備中(岡山)を結ぶ。
・予讃線、土讃線、予土線…四国の路線は紛らわしく、讃岐(香川)、土佐(高知)、伊予(愛媛)の組み合わせにより命名。
・日豊本線(小倉駅〜鹿児島駅)…九州東部を経由し、豊前(福岡・大分)、豊後(大分)、日向(宮崎)を通ることから。
・豊肥本線(大分駅〜熊本駅)…豊後(大分)と肥後(熊本)を結ぶ路線。
・その他、長大な路線には、東北本線、東海道本線、山陰本線、山陽本線など、より広範囲の地域名が付けられています。冒頭の「高崎線」のように、著名都市名を付けたもの、2都市の名称を合成したものも多数あります。また、歴史の新しい路線では、京葉線(東京と千葉)、埼京線(埼玉と東京)のように、現都道府県名を合成したものもあります。

 時刻表の巻頭地図で、これらの路線と沿線観光地を調べてみるのも楽しいですね。

 最後にクイズ。群馬県新前橋駅と栃木県小山駅を結ぶ路線に、「両毛線」というJR線があります。明治まで使われた旧国名では、群馬県は上野、栃木県は下野で、「毛」の字はありません。では、この名称の由来はなんでしょう? 解答は次回のブログで。