旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

今に生きる旧国名(1)ご当地名物

 1年で最も寒い季節となりました。新型コロナはおとなしくなりましたが、まだインフルエンザが流行っています。ご体調にお気をつけください。

 信濃、伊豆、薩摩・・・。いずれもよく知られた旧国名です。旧国名は、明治の始めまでわが国の行政区分として用いられてきました。明治の廃藩置県により、現在の都道府県に置き換えられたのですが、冒頭の旧国名は、歴史ファンでなくともどの都道府県か言い当てることができるでしょう。
 「旧国名」とは言われますが、法律などで使用が禁止されたわけではなく、現代でもさまざまな場面で目にし、耳にすることがあります。この旧国名、知っていると国内観光地理の学習に大きな助けとなります。
 今回は、試験に生かせる旧国名のお話です。

 改めて、日本地図を眺めてみると、色々なところに旧国名が使われていることに気付きます。私の郷里は新潟県ですが、旧国名は越後。「越後湯沢」などの地名に使われ、まあ認知度が高いほうでしょう。関係ないですが、「越後屋」というと、悪代官と組む悪徳商人であったりします。
 佐渡島も旧国名の佐渡のままです。長野県は、「信濃」や「信州」のほうが、岐阜県北部は「飛騨」のほうがむしろぴったり来るかも知れません。
 他にもたくさんあります。たとえば半島に多く、伊豆半島は旧伊豆の国(現静岡県)。先日大震災に見舞われた能登半島(石川県)も代表的地名。志摩半島は志摩の国(三重県)、紀伊半島は紀伊の国(和歌山県)、薩摩半島は薩摩の国、大隅半島は大隅の国(いずれも鹿児島県)です。また、房総半島(千葉県)は安房の国と上総の国の合併型です。
 山岳で、○○富士と呼ばれる山でも、多くが旧国名を冠しています。蝦夷富士(羊蹄山・北海道)、信濃富士(黒姫山・長野)、伯耆富士(大山・鳥取)、讃岐富士(飯野山・香川)、薩摩富士(開聞岳・鹿児島)etc… 旧国名そのものではありませんが、津軽富士(岩木山・青森)、南部富士(岩手山・岩手)会津富士(磐梯山・福島)など、古くからの地方名を冠したものもあります。
 地名ばかりではありません。名産品・特産品にも旧国名・地方名が多く使われています。思いつくままですが、津軽凧(青森)、南部鉄器(岩手)、会津塗(福島)、加賀友禅(石川)、越前ガニ(福井)、若狭塗(福井)、美濃和紙(岐阜)、丹後縮緬(京都)、出雲そば(島根)、備前焼(岡山)、讃岐うどん(香川)、伊予絣(愛媛)、筑前煮(福岡)、肥後象眼(熊本)、おまけでサツマイモ(鹿児島)・・・
 まだまだ、他の分野にも多数見られます。
 つまり、旧国名がわかれば所在する都道府県名がわかる、ということです。「どの都道府県にあるか」との問に、旧国名があればそのまま答えが書いてあるのと同じことです。ありがたいですね!
 すべての問題に役立つものではありませんが、必ず何問かは旧国名を含んだ問題が出ますので、得点アップにつなげてください。

次回は、鉄道にかかわる旧国名のお話です。