旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

㊗️北陸新幹線延伸開業!−2

 今回も、北陸旅行斜め読みです。
2.北陸新幹線の料金体系は?
 前回の続きです。東京〜敦賀間で、料金の違いについてお話します。
 まず、分かりやすい東海道新幹線経由の場合。
 東京〜米原間は5,150円です(ひかり号利用)。また、米原〜敦賀間は在来線特急列車で1,290円です。合計は6,440円となります。
 次に、北陸新幹線経由の場合。通常の旅行だけでなく、試験対策としても、東京〜敦賀間は7,230円の1本と捉えておけば十分です。試験では料金表も表示されるはずなので、この数字自体も覚える必要はありません。
 ところで、東京〜敦賀間の営業キロは575.6キロ。これに相当するキロ数の特急料金を他の新幹線で見てみると、東海道新幹線では東京〜新神戸間(589.5キロ)が5,490円、東北新幹線では東京〜いわて沼宮内間(566.4キロ)が5,910円です。JR会社によって料金設定が異なるのはわかりますが、北陸新幹線の7,230円(575.6キロ)は、かなり割高感がありますね。
 特急料金は、基本的には駅間の利用キロ数に比例します。長ければ高い、短ければ安いはずです。しかし、北陸新幹線の特急料金を見てみると、ちょっとおかしいことに気付きます。
以下、東京発の営業キロ数と特急料金の抜粋です。表は、あくまで東京駅からの料金であることにご留意下さい。

 表を見ると、上田〜上越妙高間は200キロ弱で差額が890円なのに対し、上越妙高〜糸魚川間は隣り駅同士で37キロしかないのに、いきなり差額が1,430円になります。また、上越妙高〜黒部宇奈月間は200キロに満たないのに、1,760円の差額となります。ずいぶん不均衡な感じですね?JR西日本(金沢、敦賀方面)から見ても、この区間はやはり不均衡になっています。
 こうなっている理由は、北陸新幹線が、上越妙高駅を境に、JR東日本とJR西日本にまたがって運行しているためです。東京から上越妙高まではJR東日本ですが、この駅を越えるとJR西日本の領域に入ります。異なるJR会社間にまたがる場合、運賃は通しの額を適用できます(旧国鉄以来の計算方法)が、料金については会社ごとに定め、通しの料金(1本の列車とする)は一部の例外を除き、原則適用されません。旧国鉄時代にはなかったことですが、分割民営化の今では、利益確保のために「会社ごと」が前提です。時刻表や試験に出る料金表では、あたかも1本の通しの料金のようですが、実はそうではありません。複数の会社にまたがる場合は、それぞれの料金を合算するというのが基本的な考え方です。北陸新幹線でも、JR東日本、JR西日本それぞれの会社区間内で料金を定めています。
 もし東京〜上越妙高間と上越妙高〜敦賀間を、会社ごとに別々に特急券を購入すると、4,270円+4,060円=8,330円となり、非常に割高になります。そこで、旅行者の利便のため、両社にまたがって利用するときには(あんまり高くて申し訳ないから)少しオマケをしようということで、減額調整を図っています。その結果が、東京〜敦賀間で7,230円という設定になったわけです。単純に2分割で購入するより1,100円安くなっていますが、JR東西2社痛み分けで、それぞれ550円を割り引く計算になっています。
しかし、これは区間によって減免額が異なり、大変複雑怪奇なので、試験には出されていません。割高な理由だけ、トリビアとして知っていただければ十分です。
 なお、東北新幹線と北海道新幹線にまたがる場合や、山陽新幹線と九州新幹線にまたがる場合にも減額措置があります。また、東北・北海道新幹線及び北陸新幹線のグランクラス料金についても、計算方法は異なりますが、同じように減額措置があります。これらはずっと単純で、試験にも出るので理解しておきましょう。

 ああ、料金はややこしいけどわかった。で結局、どうやって北陸に行くのがオススメなんだ? 
 これまた次回で!