旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

㊗️北陸新幹線延伸開業!−1

 3月16日から、いよいよ北陸新幹線の金沢駅〜敦賀駅間が延伸開業します。
 振り返れば、長野オリンピックの前年の1997年に、高崎駅〜長野駅間が「長野行新幹線」として部分開業したのがスタートです。27年も前のことなので、まだ生まれていない読者の方も多いでしょう。その後、2015年にようやく金沢まで延伸され、晴れて「北陸新幹線」と名乗りました。それから9年の歳月を経て、敦賀駅まで達したのです。
 将来は大阪方面まで延伸する予定なのですが、まだどこを通るのか、ルートすら確定していません。ともあれ、ようやく名実ともに北陸路の大半を走る路線となったのです。
 最速列車の「かがやき号」は、3時間8分で東京〜敦賀を結びます。従来の金沢乗継では約4時間かかっていましたので、1時間弱の短縮になります。しかも、乗り換えなしの直通。途中、加賀温泉、芦原温泉にも停車するので、首都圏からの北陸観光がぐっと身近になりました。
 今年は能登半島地震で年が明けましたが、能登を始め被災地の復旧復興にも、大きな援軍となることでしょう。思い出しますが、東日本大地震が起きた翌日は、九州新幹線の博多〜新八代間が延伸開業し、九州新幹線は全線開業の日を迎えたのでした。しかし、大震災の翌日であったため、開業セレモニーは中止となりました(その後、九州新幹線は熊本地震の直撃を受けることになります)。
 話が少しずれてしまいました。この稿は開業前(ダイヤ改正前)に書いているのですが、北陸新幹線は地震の影響もなく、予定通りの祝賀を受けて走り出すことと思います。「北陸応援割」も始まっています。ぜひ皆さんで北陸を盛り上げていきましょう。

1.北陸への行き方
 北陸新幹線を持ち上げておきながら、ちょっとおかしな見出しに思われるかも知れません。首都圏の方には、乗り換えなしで直通できる北陸新幹線一択!というところでしょうが、手段はこれ一つではありません。この際、航空機は除き、JRを利用することを前提に、コスパと目的の違いによる選択肢を考えてみたいと思います。おっと、これは決して北陸新幹線開業にケチをつけるものではありませんので、ご了承下さい。
 分かりやすく、今回新規開業の福井県内で見てみましょう。
① 所要時間は?
 従来、東京から福井県内に行くには、東海道新幹線が主で、米原乗り換えで行くのが最も早く到達できました(名古屋乗り換えの手段もあります)。
 ダイヤ改正後、北陸新幹線経由の東京〜敦賀間の所要時間は、上記のとおり最速3時間8分。しかし東海道新幹線を利用し、米原乗り換えで在来線特急列車を利用すると、約2時間50分です。1回の乗り換えの手間を惜しまなければ、まだまだ東海道新幹線回りが最速。ただし、東京〜福井間では、北陸新幹線経由が最速2時間51分。東海道新幹線・米原乗り換えでは約3時間30分です。行き先により、開きが出ます。芦原温泉、加賀温泉も、圧倒的に北陸新幹線経由が勝ります。
② 運賃料金は?
 やっぱり、福井に行くなら「北陸新幹線一択だろ?」と思った方も多いと思います。早く行ける、というのは大切なことですね。しかし旅行では、コストも重要です。できるなら、余計な出費は抑えたいものです。
 東京〜敦賀を、北陸新幹線経由と東海道新幹線で運賃料金を計算してみると、次のような結果になりました(いずれも、通常期に普通車指定席を利用した場合)。
 ・北陸新幹線経由
 運賃:9,130円、特急料金:7,230円 合計:16,360円
 ・東海道新幹線(米原)経由
 運賃:8,030円、特急料金:6,440円 合計:14,470円
 なんと、約1,900円の差が出ました。駅弁買って、缶ビール2本買えます。まあ、東京〜敦賀は所要時間が短い理由もありますが、家族で行くことを考えると、ちょっと大きいですね。なお、東京〜福井間では、余り違いはありません(15,810円対15,790円)。更に、加賀温泉、芦原温泉であれば、北陸新幹線が安上がりです。
 お気付きと思いますが、これは乗車距離の違いが大きな理由です。東京〜敦賀の営業キロは、北陸新幹線経由では575.6キロですが、東海道新幹線経由の場合には491.8キロと、80キロ以上も違います。このため、運賃が高くなります。特急料金も北陸新幹線経由が高くなっていますが、これは単純に距離の違いだけではありません。ではなぜ? あいにく今回は紙面が尽きましたので、また次回に。