旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ
旅行業務取扱管理者の職務とは

 旅行者の増大、旅の多様化に伴い、旅行契約の形態はますまず複雑化し、トラブルも多く発生しています。そのため旅行業務取扱管理者には、旅行者との旅行に関する取引の公正を図り、トラブルに適切に対処することが法令によって義務づけられています。
 また、旅行業務取扱管理者にはその豊富な実務知識をもとに、旅行業務のエキスパートとして、旅行の企画・手配から販売・添乗までのさまざまな業務で、営業所の中心的役割を果たすことが期待されています。まさに旅行業務取扱管理者は、旅行会社の中核となる、不可欠な存在であるわけです。

 旅行業務取扱管理者は、旅行会社の営業所で次のような仕事をします。

●旅行業務取扱管理者の法定業務
 旅行業務取扱管理者は、旅行者の権利の保護と旅行サービスの質的向上を目的として1972年に定められた制度です。旅行業法では、「旅行業者又は旅行業者代理業者は、営業所ごとに、1人以上の旅行業務取扱管理者を選任して、当該営業所における旅行業務に関し、「取引の公正」「旅行の安全」「旅行者の利便」を確保するために必要な事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければならない」と定めています。従って、旅行業者等は、営業所に旅行業務取扱管理者を選任しなければ旅行契約を結ぶことができません。つまり、「商売ができない」ということです。
旅行業法では、次の事項を「旅行業務取扱管理者の職務」として定めています。 
① 旅行に関する計画の作成…旅行日程の適切な予約手配を行う
② 料金の掲示…旅行業務取扱料金表を旅行者が見やすいように掲示する 
③ 旅行業約款の掲示及び備え置き…旅行業約款を、旅行者が見やすいように掲示するか備え置く 
④ 取引条件の説明…旅行契約を締結しようとするときに、旅行者に取引条件を説明する 
⑤ 書面の交付…契約を締結した後に、旅行者に書面(契約書面)を交付する 
⑥ 広告の実施…広告の表示事項及び誇大広告の禁止事項を順守する 
⑦ 旅程管理措置…企画旅行の円滑な実施のための適切な措置を講じること 
⑧ 苦情の処理…旅行業務に関する苦情の処理を行う
⑨ 契約の内容に関する明確な記録又は関係書類の保管
⑩ その他、法の目的を確保するために必要な事項として観光庁長官が定める事項

 旅行業務取扱管理者は、これらをすべて自ら行う必要はありません。営業所内において、他の従業者を含め、これらのことが適正に行われるように管理監督する立場にあります。これらの職務が適正に行われていない場合や、そもそも旅行業務取扱管理者を選任していない場合は、旅行業者は観光庁長官によって処分を受けることになります。
 もちろん、これらの職務だけを行っていればよいわけではなく、営業や手配、添乗業務など、営業所における日常業務も行わなければなりません。なかなか大変ですが、やりがいもありそうですね!

次回は、試験のお話です。