旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

日本を訪れる外国人旅行者の数が、昨年ついに1千万人を超えたようです。

昔、日本はそれほどの観光国ではありませんでした。
関心は海外に出かける方に向いていました。
80年代の半ばに、政府は日本人の海外旅行者数を1000万人にしようという、
「海外旅行倍増計画(テン・ミリオン計画)」を推進し、1990年に達成しました。

バブル経済の影響があったのでしょう。
しかしその年の訪日旅行者の数は324万人で、
アジア諸国と比べても極めて低いものでした。

大幅な観光客の輸出超過国(?)だったのです。
その後、2003年から「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が
官民一体となって進められ、訪日旅行者の数は増加しはじめ、
開始後10年で昨年1000万人を達成しました。

ところで、この外国人旅行者に日本の旅行業法の保護は及んでいるのでしょうか?

それは、外国人がどのような旅行形態をしているかによります。
日本の旅行業者が実施している「外国人向けツアー」というものがありますが、
日本で登録している業者の場合は当然参加者に旅行業法・約款の保護は及んでいます。

手配旅行の場合も同じです。ということは、
外国の会社が実施している旅行に参加している外国人は、
日本の旅行業法の保護の対象にはなっていないということです。

つまり、同じく日本国内を旅行する場合であっても、
外国の旅行業者が取扱う場合は、旅行業の登録は必要ないのです。

これを悪用すれば、便宜的に外国に本拠を置き旅行業法の登録を免れ、
実質的に旅行業務を行うことができてしまします。
このような行為は旅行業法違反ですから、見つかったら大変です。

逆の場合も問題があります。日本人が海外旅行をする場合に、
日本の旅行業者の扱う旅行に参加する場合は旅行業法・約款の保護を受けますが、
インターネットなどを通じて外国の旅行会社と契約をする場合は、保護はありません。

トラブルがあったときなどには交渉が難しいでしょう。

旅行業法は日本に本拠地があり、旅行業務を行っているものを規制しているのです。