ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

2024年4月からの年金額について①

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

今月は、2024年4月からの年金額や、2024年に変わることについて解説をしていきたいと思います。

■年金額は実質的に目減りする
 まず、年金額の計算方法について簡単に解説します。公的年金額は、基本的に、年間の賃金変動率と物価変動率をもとに、翌年度の金額が決定されます。
 令和6年度の年金額は+2.7%の上昇となっています。この前提に、賃金変動率が+3.1%、物価変動率が+3.2%があります。まず知っておきたいのが、賃金変動率と物価変動率の2つを出し、賃金変動率が物価変動率を下回る場合には賃金変動率が採用されること。つまり、令和6年度に関しては賃金変動率の方が低いため、賃金変動率+3.1%が採用されました。
 ここで疑問に思うことが、賃金変動率は+3.1%なのに、年金額は+2.7%であること。この差は何?この差はマクロ経済スライドによる調整率です。マクロ経済スライドとは、公的年金の被保険者数の状況と平均余命の伸びを勘案して公的年金額を決めるものです。簡単に言えば、少子高齢化により、公的年金の保険料を支払う現役世代が減ればその分を考慮して公的年金額を減らす、平均余命が伸び年金を受け取る人が増えればその分を考慮して公的年金額を減らすといった仕組みが現在は適用されているのです。
 令和6年度に関しては、「マクロ経済スライド」による調整率は-0.4%。これは、令和2年度から4年度の公的年金被保険者総数の平均変動率(-0.1%)と平均余命の伸び率(-0.3%)を合わせたものになります。このマクロ経済スライドによる調整率が、賃金変動率から差し引かれる(3.1%-0.4%=2.7%)ことで実際の公的年金支給額が決定されました。
 そのため、2024年4月から前年度に比べて+2.7%上昇することになります。見かけ上は増えますが、物価上昇率に比べて低いため、実質的には目減りすることになります。増えたように見えて実質的には減りますので、その点注意していただきたいと思います。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。

【問題1】
東証株価指数(TOPIX)は、プライム市場、スタンダード市場およびグロース市場の全銘柄を対象として算出されている。

<解答>×
不適切。東証株価指数(TOPIX)は、原則としてプライム市場の銘柄を対象として算出されています。

いかがでしたでしょうか?
それではまた次回、お楽しみに★