本試験まで19日となりました。
勉強は進んでいますか?
今回も、みなさんの受験を全力で応援するため、
気がついたことや、お問い合わせが多いことについて、書いてみたいと思います。
今回は、集中力のアップについて、お話します。
フォーサイトの戦略立案編にもありますが、
集中力を高めるのは、学習効率を高める意味でも大切です。
そこで、まず集中力を高める方法ですが、個人的には、次の二つが効果的だと思います。
1、気分が乗らないときでも、まず勉強をはじめよう!
直前期にもかかわらず、どうしても勉強する気が起きない時に有効です。
「今日は、何だかやる気が起きない」ということは誰にもあることです。
このような場合、まず、勉強をはじめてみることが大切です。
人間の脳は、どんなに嫌で興味が持てないことでも、
手をつけはじめることで刺激され、自己興奮し、そのうち集中力が高まってきます。
はじめから集中して物事に取り組んでいなくても、
やっていくうちに、「集中」があとからついてくるものです。
これは心理学でいう「作業興奮」という作用です(ドイツの心理学者E・クレペリンが発見)。
まずは、とにかく勉強をはじめてみましょう!
2、制限時間を決めて取り組もう!
時間が大切な直前期だからこそ、時間を有効活用するために必要なノウハウです。
仕事でも、期限ギリギリになって作業を開始し、火事場の馬鹿力で、
意外に早く作業ができてしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか?
このように、時間的制限があると、その緊張感により、集中力が増すものです。
学習においても、必ず「何時何分までにこれを終わらせる」というように、
制限時間を設けて取り組んでみましょう!
以上、個人的に効果の高いと思う集中力の高め方です。
今回は、行政法の判例を1つ紹介します。国家賠償法2条に関する判例です。
判例は、いわゆる大阪空港公害事件です(最大判昭56.12.16)。
この事件は、大阪空港付近の住民が、航空機の頻繁な離着陸による騒音・振動・排気ガスの被害を被ったとして、
空港管理者である国に対して、人格権ないし環境権を根拠に、
損害賠償と夜9時以降の空港の使用の差止を請求したという事案です。
この訴訟では、色々な論点が出ましたが、ここでは、国家賠償法2条1項にいう、
「営造物の設置又は管理の瑕疵」とは当該営造物自体について存する物的な欠陥をいうものと解すべきではないのか?
という論点について取り上げます。
要するに、施設に物的な欠陥があるのではなく、施設の利用方法が悪いような場合にも、
国賠2条1項は適用されるのか?というのがここでの論点です。
判例は、この点について以下のように述べています。長文ですが、判例のような難解で長い文章を読む練習ということで、長めに引用します。
「国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、
営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいうのであるが、
そこにいう安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、
ひとり当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし
不備によつて一般的に右のような危害を生ぜしめる危険性かある場合のみならず、
その営造物が供用目的に沿つて利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、
また、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含むものと解すべきである。
すなわち、当該営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りにおいてはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、
これを超える利用によって危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、
そのような利用に供される限りにおいて右営造物の設置、管理には瑕疵があるというを妨げず、
したがつて、右営造物の設置・管理者において、かかる危険性があるにもかかわらず、これにつき特段の措置を講ずることなく、
また、適切な制限を加えないままこれを利用に供し、その結果利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、
それが右設置・管理者の予測しえない事由によるものでない限り、国家賠償法2条1項の規定による責任を免れることができないと解されるのである。
本件についてこれをみるのに、本件において被上告人らが主張し、かつ、
原審が認定した本件空港の設置、管理の瑕疵は、右空港の施設自体がもつ物理的・外形的欠陥ではなく、
また、それが空港利用者に対して危害を生ぜしめているというのでもなくて、
本件空港に多数のジェット機を含む航空機が離着陸するに際して発生する騒音等が被上告人ら周辺住民に
被害を生ぜしめているという点にあるのであるが、利用者以外の第三者に対する危害もまた右瑕疵のうちに含まれること、
営造物がその供用目的に沿って利用されている状況のもとにおいて、
これから危害が生ずるような場合もこれに含まれることは前示のとおりであるから、
本件空港に離着陸する航空機の騒音等による周辺住民の被害の発生を右空港の設置、
管理の瑕疵の概念に含ましめたこと自体に所論の違法があるものということはできない。
そして、原審の適法に確定したところによれば、本件空港は第一種空港として大量の航空機の離着陸を予定して設置されたものであるにもかかわらず、
その面積はこのような機能を果たすべき空港としては狭隘であり、しかも多数の住民の居住する地域にきわめて近接しているなど、
立地条件が劣悪であって、これに多数のジェット機を含む航空機が離着陸することにより周辺住民に騒音等による甚大な影響を与えることは避け難い状況にあり、
しかも本件空港の設置・管理者たる国は右被害の発生を防止するのに十分な措置を講じないまま
右空港をジェット機を含む大量の航空機の離着陸に継続的に使用させてきた、というのである。
そうすると、右供用の違法性が肯定される限り、国家賠償法2条1項の規定の解釈に関しさきに判示したところに照らし、
右事実関係のもとにおいて本件空港の設置、管理に瑕疵があるものと認めた原審の判断は正当というべきである。
原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。」
いかがでしたか?
判例は、要するに、営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、
これを超える利用によって利用者又は第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、
そのような利用に供される限りにおいて、右営造物につき国家賠償法2条1項にいう設置又は管理の瑕疵があるものというべきである、
としました。
すなわち、施設の利用方法が悪いような場合でも、国家賠償法2条1項を適用するとして、
過去の損害につき国の損害賠償責任を肯定したのです(なお、将来の損害に係る賠償請求は認めていません)。
以上のような趣旨が読み取れれば良いと思います。
あと、19日!
がんばりましょう!!
フォーサイト専任講師 福澤繁樹