行政書士講座の講師ブログ

ふるさと納税訴訟 泉佐野市逆転勝訴

皆さん、こんにちは!
フォーサイト専任講師・行政書士の福澤繁樹です。

学習の進み具合は、いかがですか?

今回は、個人的に注目した泉佐野市の
ふるさと納税事件の最高裁判決をご紹介します。

そもそもは、ふるさと納税制度の特例控除の対象について、
泉佐野市をターゲットとしたような法改正を行い、実質的に
泉佐野市をふるさと納税制度から排除した事案でした。

もう少し詳しい内容を、最高裁判決から一部引用すると、
国(総務省)は、平成31年法律第2号による地方税法の一部改正により、
いわゆるふるさと納税として個人の道府県民税及び市町村民税に係る
特例控除の対象となる寄附金について、所定の基準に適合する都道府県、
市町村又は特別区として総務大臣が指定するものに対するものに限られるという
制度が導入されたところ、国(総務省)が上記の指定の申出をした泉佐野市に対して
当該指定をしない旨の決定をしたことについて、泉佐野市が、本件不指定は違法な
国の関与に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、
国(総務省)を相手に、本件不指定の取消しを求めたという事案です。

そして、結論として、最高裁は、新制度の対象となる自治体の指定基準を
示した総務省告示のうち、過去の募集方法を考慮するとした部分について、
違法で無効と判断し、国側の主張を認めた大阪高裁判決を破棄し、
除外決定を取り消しました。

つまり、泉佐野市側の逆転勝訴となりました
(最高裁第三小法廷令和2年6月30日判決)。

なお、最高裁は、判決の中で、泉佐野市について、
以下のように述べて、そのもともとの泉佐野市の行為についても、
一定の批判を行っていることも忘れてはいけないと思います。

『確かに、泉佐野市は、多くの地方団体が自律的に返礼品の見直しを進める中で、
返礼割合が高くかつ地場産品以外のものを含む返礼品の提供を続けた上、
本件改正法が成立した後も、本件改正規定の施行直前までの予定で、
キャンペーンと称し、従来の返礼品に加えてアマゾンギフト券を交付するとして、
返礼品を強調した寄附金の募集をエスカレートさせたものであり、
このような本件不指定に至るまでの同市の返礼品の提供の態様は、
社会通念上節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないものである。』

今回は、このへんで。